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もういっそ壊してくれ
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 春休みは思ったより早く過ぎていった。

 あれ以降、生野との連絡が途絶えた。鳴らない着信音−−もとより生野から電話を貰った記憶などないし、今更あったとしても困るだけだ。


 それに比例したように、あれほど辛かった胃痛は治っていた。今ではトイレに駆け込み、家族に知られないよう吐くこともなくなった。


 休みの間は従兄弟が泊まりに来たり、好きなゲームを買い占め夢中になったり、友人と夜通し遊んだりと、ある程度は満足していた。


 同じ年の幼なじみ、河合 アキ(カワイ アキ)からの誘いのメールも断る理由はない。


 アキも同じ上成高校の生徒だ。クラスが違うため普段はあまり接触はないが、長期休暇に入ると一度は戯れる。

 そしてアキと一緒に出かけると、いつも以上に注目を浴びた。アキは校内にファンクラブがあるほどの人気者だ。


 そのファンクラブとやらはタチの輩で構成されてるらしい。アキの見た目がまるで女の子だから、という安易な理由からだ。だからナンパをしてくるのは圧倒的に男が多く、その8割を占めていた。


「嘘、男だったの?あ、でも平気!!俺たちと遊び行こうよ!!…あれ、あんたも美人だね」

 品定めをする目つきに俺は直ぐさま不機嫌さを全面に出す。そうなると男共はアキに擦り寄るしかなくなる。



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