もういっそ壊してくれ
6
自分だけが恋い焦がれているみたいだった。
まるで一人相撲。
笑えない道化師。
惨めで、あまりにも滑稽で涙も出てこない。
残酷なのは俺か、お前か。
どこまで俺を沈める気?
寂しかった、いつからか淋しくなった。
魅力的だと憧れたあの瞳が、あの雰囲気が、残虐な凶器に変わったような気がした。
俺をただ傷つける。
近づきたくても、いつも拒んでいるように見えた。
「お前なんか好きじゃない。本当は」そう言われている気がした。
生野は俺を決して見ていないと思った。
誰からも愛される生野。
誰もが生野にため息を漏らし崇める。
そして恋人という曖昧な関係の中で、誕生日や趣味、嫌いな食べ物さえ知らない自分に心底落胆する。
そうしていたら
しらけている俺自身に気づいた。
なんか、もう一緒にはいられない。
終わりを告げる音−−−。
終焉のベルが鳴り止んでくれないのだ。
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