もういっそ壊してくれ
3
『あたし、るぅのこと好き』
『好きだよ、滝沢くん』
『好きです。滝沢先輩、付き合ってください』
初めてキスをしたのは小6の卒業式、セックスは中1の夏休み、それぞれ違う女の子だった。
だが自分から告白をした経験は一度もなかった。
甘い誘いはいつだって相手から。告白も、メールも電話も−−。
付き合っていた相手に愛情がなかったわけではない。可愛いと思ったし、みんなそれなりに好きだった。目の前で泣かれれば自然に抱きしめ、落ち込んでいれば気の済むまで相談に乗ってあげたかった。
デートを重ね、来るべき時が訪れ、別れる、を繰り返す。
−−生野が同じ男じゃなかったら…
−−もっと、楽だったかもしれない
こんなに振り回されるのも、心が疼くのも俺には免疫すらない。
どうしていいのか、よく知らないでいる。
自分に余裕がないことは確実に分かるのに−−−−−。
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