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もういっそ壊してくれ
3


 顔面の毛穴がハッキリと認識できる近距離、鼻の頭の吹き出物が異様に目立っている。


−−気のせい、じゃねぇこいつ興奮してやがる…

 荒々しい鼻息をフンフンと連発させながら、もう定着してしまった、あの気味悪さも忘れてはいなかった。「グヒ」吐きそうだ−−。


「いえ。俺は結構です」

 肩で男を押しのけ生野の横を通過しドアへと急いだ。

「ぅう…あん?たっ…滝沢ッ!!待て待て!先生は…」

「…っ」

 尚も下品な声が追いかけ、振り向きトドメをさそうとした瞬間。


 ガ、ガタン!!!ッ―――


 突如、騒音が鳴り響いた――。


 慌てて振り向けば、生野が机に腰を下ろしたままの体勢で、近くの机を大きく蹴り倒していた。


 ガ、ガゴ、ガタ―――ッッ


 それが他を巻き込み、近くの椅子や机がドミノ倒しのように共倒れする。生野は冷たい目線を、蹴り飛ばした机へと向けていた。


「グ……生、野…っ」


 前田は驚いた様子でビクンと一度、体を震わせる。更に無言の生野を不気味に思ったのか、焦りを含ませた声を発した。「こ…子供のケンカに大人が割り込むのは…よくないな。うん…早く仲直りすることだ…先生は帰るからお前たちもそうするように」


 そして腰を屈ませ、弾かれた椅子や机やらを自らで立て直すと、イソイソと退室した。

「…」

 二人きりに戻り冷静にはなれたが、生野との微妙な距離が気まずい。


「滝沢、お前も逃げる?あいつみたいにビビって逃げ帰るか?」


 いまだ無愛想な生野は、皮肉をたっぷりと捩じ込んだ。


「原因はお前だろーが。だいたい…」

「なに、まだ続けんの?あのド変態ペドロリ野郎が言ったろ、仲良くしろって。イイ子ちゃん滝沢は先生の言うこと聞かなきゃな」

「お、前まじでムカつく…っ」

「…そーなんだ?」

「そういうとこが、またイラつく…っ」


 自分本意、利己的、冷淡、短気、挙げればキリがないほどのマイナス要素の持ち主は、絶大な人気があり、人を魅了し虜にする。


−−こんな嫌味な人間いねぇよ……




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