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もういっそ壊してくれ
10


「生野、好きだ」

「何言い出してんの、お前」


−−そりゃそうだ。全然間違ってない、その反応。俺本人でも思う。けど、だけどさ…


「…生野、嘘じゃない。マジで好きなんだ」


 あの胸の高鳴りもこの緊張感と興奮も、生野が好きだからこそだと、遅いなりに気がついた。それを露呈するかのように、肩の震えが止まらないでいる。


「…正気…みてぇだな」


 生野は刺すような視線を寄越し、それに堪え切った俺に言い置いた。そして腰を上げると、適当に埃をたたき落としながらゆっくりと階段を下りてくる。


 その動作ひとつひとつが超ハイテクスローモーションに見えるのが不思議だった。そして面前に立つと、改めて直視された。そこで俺はこの感情が勘違いでも、気の迷いでもないことを思い知る。


 確定で揺るがない事実だった。


「やっぱ好きだ、俺。俺と付き合ってよ」


−−人生初告白の相手が男、同性とか信じられんね…


 すると俺を見下ろしたまま、形のいい口が動いた。


「前に会ったっけ?」

「初対面、だけど」

「だよなあ。ね、お前ホモ?」

「や、違うけど」

「バイ?」

「いや違う、バイじゃねぇ…」


 そう正直に答えていくが、次に繰り出された質問に俺は押し黙ってしまう。


「ふーん。じゃ聞くけど

なんで俺がいいの」

「…」


 どうしてって聞かれても答が見つからない。

 ただただ好きなんだ。

 好きで

 好きすぎて、もう狂いそうだ−−。


 それは答えに当て嵌まらないのかと俯き、キュッと結んだ唇を開けなかった。


 すると、


 突然と左頬に暖かいものを感じ勢いよく顔を上げれば、互いの鼻同士がくっつきそうな至近距離まで生野が顔を寄せていた。


−−!!!!


「!な、に」


 俺はこれ以上ないほどに驚き入り、限界まで目を開いた。生野は頬から顎までの骨格ラインを、スルスルと右の指で往復させると、ニヤリと怪しげに笑って見せる。


「ガチっぽいな、お前。

わかった。


お前と
付き合ってやるよ」







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