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もういっそ壊してくれ
9 河合アキside.end


『滝沢、ボコんね?』


 そう持ちかけられたのは生野くんと破局した二日後−−不登校になった僕の見舞いと称して、家に上がり込んだ三人組の一人。噂話で耳にしたことのある僕の親衛隊で、どうやら盲目信者だ。

 生野くんも呼び出そう−−。傷みつけた留亜を見れば、どんな反応をするのか、と興味を引いた。


−−留亜だけじゃなくて
−−僕にも見せてよ

−−その心を


 しかし、僕の期待は無惨に破壊されてしまう−−留亜を暴力という卑劣さで気絶させたのだから、その内心は複雑なはずだ。

 結局

 僕は

 こんなふうになっても生野 真崎の憤りや、人間味に触れることは叶わなかった。


「留亜だけ…

留亜に対してしか、見せないんだよね…」


 無感動で心を見せず、仮面をいつまでも披露し、覗くことさえ許してはもらえない。

 それは本来の姿を見せるに値しない、僕という人間が無価値と一蹴されたのと同意だ。

 好きになってくれなかった上に、あの頑ななまでの姿勢はニ重の屈辱感だ。


「ははっ…むしろ笑えてくる…。

キレてくれてたら、僕は

それでよかったかもしれないのに…」


−−どうして

−−こんな惨めな思いをしなきゃいけない

−−このまま終わらせたりしない、絶対に


−−許さない…!

−−許さない……!!!


 もはや手放してしまった良心に未練はない。下僕をとことん利用して地獄を見せてやる。


『嬉しそうだったか。喜んでたと思う?

あんたが言うようにこいつが俺を好きだったとして−−けど俺にはなんにも言わなかったぜ…? 

裏切ってたのは俺−−』


 留亜が裏切っていたか否かなど、もうどうでもいい。落涙する今に理由は求めない。ただただ苦しめたい−−−。


 僕は次々と溢れ出す涙を、何度も拭った。


『滝沢はあんたを、大事な友達だと思ってたってことになんない?



あんたは、そうじゃなかったみたいだけど』







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