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もういっそ壊してくれ
1 河合アキside


 それは一年生の終了式間近、あと数週間で春休みを迎える2月下旬の出来事だった。


「河合!1-Aの転入生見た?もう大騒ぎだよ!!!」

「…ううん。それって有名人とか芸能界の人…?ぁ、顔、大丈夫?」

「これ?あー本当だ擦りむけてる。けど痛いとか感じなかったな、今ヒリってする。
あ!テレビとかでは見たことないけど衝撃受けてきたよ!俺」

「衝撃…?」

「な、なんてゆーか。ちょっと待って落ち着くから。いまだに心臓バクバクしてる。ふぅ〜」


 昼休みを迎え仲のいい友人と雑談していたところ、クラス委員長が飛び込んできた。クラス委員長は落ち着きのある態度が定評で、これほど興奮しきりの彼は初めて見る。


 僕は話の内容よりも、頬の傷痕が気になった。そして左胸に手を宛て、動悸が鎮まるのを待っている委員長を見つめた。


「よしっもう大丈夫だ!すっごいイケメンなんだよ、その転入生!!!

目とか鼻とか口元とかパーツの一つ一つが整ってて、髪も決まってて!とにかく超美男子!!!

椅子座ってて男子とかに囲まれてたんだけど。その輪に無理矢理割り込んで顔見たんだよ!!…その時やられたんだなコレ…顔面押しのけられたからね、三浦にっ!

で立ち姿は見てないけど、あれは軽く180以上あるね!!イケメンは背ぇ高いの必須だから!!

あっ…ごめん、嫌味じゃないよ今の。河合は背が低いの似合ってるから」

「…ありがとう」


−−背が低いのは、僕の一番の悩み

−−それだけじゃなくて、この髪も童顔も…

−−引っ込み思案の性格も…


 興奮が再燃し、次第に拳に力を込めながら訴えてくる委員長をよそに、僕は落ち込んでしまった。すると


「あっ!!ほら、あいつだよ!!来た来た来たっイケメンキターーーーーッ」





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