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もういっそ壊してくれ
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 そして、今に至る−−。


 昨夜は眠れなかった。せっかくサボったんだから睡眠補給に、あと30分寝て過ごそうと考え目を閉じるが、その度に生野のあの笑顔を思い出す。


「だから、もういいって」


 俺は今日もう何度目かも分からない深い溜息をつき屋上を後にした。


 人気のない渡り廊下を歩いていると、教室とは反対側の別棟に来ていた。ここの建物は旧校舎だ。以前は教室として使用されていたらしいが、新しく校舎が建設されると呆気なくお掃い箱になったらしい。


 校舎内は所々に黒い亀裂が見える程度で、利用価値が失くなったとは言い難かった。


「もっとボロいかと思ってた。エコじゃねぇよな」


 入口観音扉は普段、錆びた鎖がグルグルに巻き付いている。加えてダイアル式南京錠がご丁寧に3つ、ぶら下がっている。KEEP−OUT立入禁止区域。


 入学して何度か鍵を壊し、中に入ろうと意地になっていた時期があったが無駄だった。なのに久々来てみれば足元に投げ出された鎖と鍵が、あっさりと入館を許してくれた。


 学校関係者の先客がいるのだろう、大人に見つかったら案外厄介だ。中に入り先客にロックされ、締め出しを喰わされたらシャレにならないと気付いたが、そのときは窓から脱出しよう…と楽観的に考えた。


 多少のカビ臭さと不法侵入に気後れしながら、でもどうせなら全階を探索しようと2階への階段を1歩上がったところで、俺の足が動かなくなった。





「…生野」







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