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もういっそ壊してくれ
6


 生野をゆっくりと見上げれば、喉が詰まりそうになった。先程よりも近い距離で、俺だけを捕らえている瞳に目眩すら覚えた。そして甘い臭いが何度となく鼻を刺激するが不快感は全くない。


「なに」


 きっと真っ赤になってるだろう俺の顔を見続ける生野に、目を反らしながら小さく尋ねた。


「トイレ」

「は…」

「トイレ行きてぇんだけど、どこ」

「ぁあ、あ!トイレは教室出て右行って奥、階段の、手前」


 声が若干震え恥ずかしい心地になった。そしてギュッと目を閉じ勢いをつけると、無理に生野と目を合わせる。


 すると生野はほんの僅か目を見開いた後、フッと優しい顔つきで「サンキュ」と礼を言った。


 その笑顔にクラス中が怒涛の雄叫びをあげる。生野が視界から消えれば、腰が抜けたようにドサリと椅子に沈んだ。そして生野が教室を出た途端、三浦を含めた男衆が今度は俺をぐるり囲む。


『ッ−−!!滝沢お前だけずるッ…』第一声は三浦の怒声だった。

『なんでッ?、なんで、留亜だけに話しかけたッ?!』

『でも、あの笑顔はダメでしょー、結局イケメンはスマイルもイケメン?!』

『イケメン生野は美人を選んだか…、あークソ!!面白くねえ!殺してぇよ、お前殺してぇよ』

『イケメンな生野と美人な滝沢ね。…生野×滝沢…滝沢×生野はねぇな。つーことはイケメン×美人、イケメン攻め×強気受け。でも生野は俺様っぽいから−−』


 目の端に強い視線を感じ、横を見ると三浦だった。歯痒そうに顔をしかめ、明らかな敵視を向けられた俺は素知らぬフリをするしかなかった。







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