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もういっそ壊してくれ
5


「疲れた…」


 45分間の授業が意外に体力を消耗していることに驚きつつ、休み時間を迎えると盛大な息を吐いてから机に伏せた。


 そして斜め左後ろでは生野が男たちに囲まれていた。廊下には他のクラスの連中が、生野見たさに群がっていてその数50を軽く越えている。


『生野君って彼女いるの?!』

『俺ってば後で、校内案内するよ!』

『香水どこのブランド?俺も真似したぁぁい』

『写メ、写メ…あ!動画の方がいいかも』

『早速ファンクラブ設立しないとね〜〜会長は俺ね!役職は…』


 今度は堂々と生野を見て、そして衝撃を受ける。カシャカシャと幾つものシャッター音の中、生野は授業中と同じスタイルのまま、まだ野外を見続けていたのだ。


 周りは懸命に話しかけているのにも関わらず、一切誰とも目を合わさず、勿論返事をすることもなく無感心を貫き通していた。


−−他人事、かよ…

−−自由すぎる


 すると反応のない生野の態度に飽きた、自称ノンケの三浦がスーッと腰を降ろし、目線を生野に合わせるとグッと顔を突き出した。


−−三浦の奴、必死か


 その光景を何故か見ていられなくて俺は黒板に向き直った。


 ギー…椅子を引く音がすると一瞬で教室内が静まり返る。


『あっ!しょ、生野ッ−−−!?』


 俺は三浦の上擦った声が聞こえても、黒板に意識を集中させた。静かになってしまった一室には誰かが近づいてくる足音さえ響く。机に薄い影が入り、真後に誰かが立っていることを知った。


 左肩をポンポンと軽く叩かれ振り向けば、あの生野が無表情で俺を見下ろしていた。


−−え!


 びっくりした俺は慌てて立ち上がり、その拍子に椅子が鈍い音を立て後の机に当たった。それを耳に残し回りを見ると、皆の視線が俺たちに釘付けになっている。


 三浦もゴクと唾を呑みこれからの展開を待っているかのようだった。







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