怖い話
ホテル
Aさんは高校の卒業旅行で仲のいい友人2人と函館のとあるホテルに泊まることにした。そのホテルはAさんが前に泊まったことのある場所で空いているが感じのいいホテルだった。また空いているだろうと楽観的な考えで函館の街を歩き回っていた。時刻は7時を過ぎ、行く場所もなくなってきたのでAさん一行はホテルへ行くことにした。しかしその時期は卒業旅行でいっぱいで断られてしまった。自分たちも卒業旅行で来たのに他の卒業旅行をしている人もいることに気付いていなかったとAさんたちはロビーでうなだれていた。するとホテルの従業員が『どうしてもとおっしゃいますなら一つだけ使っていない部屋が空いておりますが、泊まるだけなら使用できますがいかがいたしますか…?』と言ってきたのでAさんたちは「ぜひ泊まらせてください!」とお願いした。しかし料金が高くならないか心配だったので「いくらになりますかね?」と聞いてみると『使っていない部屋ですし2割引にさせていただきます』と言われAさんたちは安くなるとは思わず余計に喜んだ。『こちらの部屋です』と案内されて入ると使われていなくてもなかなか綺麗な部屋で最上階で眺めもよく大満足だった。なんとか入れた部屋なのにAさんは得意気に「このホテル最高だろ?」と言い友人2人は顔を見合わせ笑った。3人は1日中歩き疲れていた体を休めるためにシャワーを浴びて寝ることにした。相当疲れていたのか、すぐに3人は寝てしまった。しかしAさんは夜中に苦しさで目が覚めた。体を押さえ付けられている感じと体のまわりに何かがいる空気…
目を開け、押さえ付けられている体を無理矢理起こしてみると部屋一面に無数の白い手がうごめいていた…その手は寝ているベッドからも生えていてAさんたちの体を押さえ付けていた。友人二人も寝ているがうなされていたのでAさんは二人を押さえ付けている手を振りほどき起こした。友人たちはユラユラと動いている手をみると息を詰まらせ動揺した。3人はすぐさま荷物を持ち、床に生えている手を必死に振り払いなから部屋を出ようとしたが内側の鍵は開いているのにドアが開かない。パニックになりかけていると友人の一人が『おいっ!風呂場は手ないから早くこい!』と言ってAさんたちを掴んでシャワー室に投げ入れた。Aさんたちはいつ手が侵食してくるかわからないシャワー室で3人固まって眠れぬ夜を過ごした。長い時間を待ち時計を見るとチェックアウトする10時を迎えようとしていた。シャワー室のドアをそ〜っと開け部屋の様子をうかがうと手は消えていて、ドアも開くようになっていた。3人はすぐさま部屋を飛び出しホテルをあとにした。



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あきゅろす。
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