怖い話
いわく付きのマンション
加藤さん(仮名)の自宅は社宅で何年も前からある古い5階建てマンションで、様々ないわく付きの場所だった。加藤さんも社宅に入ってきた時に3つ程噂を聞いたがそれでも噂の一部でしかないらしい。加藤さんが聞いた噂は夜中に401号室の玄関のドアに髪の長い血だらけの女の人がずっと動かずに立っている時があるという話と、マンションの廊下の窓を見ると宙ぶらりんの子供の顔がこっちを睨んでいるという話と、エレベーターに乗っていると3階を通過する時にエレベーターの前に男の首だけがニヤリと不気味な笑みを浮かべこっちを見てくるというものだった。加藤さんは気持ち悪いと思いながらも経済的な都合でその社宅に住むしかなかった。しかし2年を過ぎ加藤さんが転勤になることになっても何も起こらなかった。そして引っ越しの日、いつもお世話になった隣の人や社宅で同じ階の仲良くなった人たちに挨拶に行った。荷物もトラックに積み社宅を出て振り返ると挨拶回りに行った人たちが窓から手を振ってくれていた。加藤さんは深くお辞儀をしてその社宅を後にした。そして新しい社宅で荷物を下ろしている時に引っ越し屋の若いお兄ちゃんが加藤さんに質問をしてきた。『加藤さん社宅出るとき誰にお辞儀してたんですか?誰もいませんでしたよ…』「おどかさないでくださいよ〜同じ階の人たちが窓から手を振ってくれていたじゃないですか」

『…でも加藤さんの部屋行くとき部屋の振り分け図見ましたけど、あの階には加藤さん以外いませんよ』

加藤さんはその時気が付いた。怪奇現象は起きなかったのではなく自分があの社宅に入った時から怪奇現象は始まっていて、いないはずの住人と話していたということを…


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