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明日の空
標的112 一枚上手(ウワテ)


チュンチュン

いつもなら雀の鳴き声が聞こえ、カーテンの隙間から光が差し込むのに今日はない

あれ?
あぁそうかここは地下だったんだっけ
地下って時間分からないなぁ

ってあれ?
寝返りを打とうとしたがなぜか出来ない

「ん…」

後ろから声がした
そっと顔だけを後ろに向けた

『なっ…』

武!?
顔近っ!!!!!

山本が空を後ろから抱きしめながら眠っていた

「んー…空…?」

『お、おはよ…』

「もうちっと…」

山本は腕に少しだけ力をいれ、空の肩に頭をうずめた

微かに触れる武の髪の毛がくすぐったい

そーいやなんで武がここに?
うーん…
あ、昨日あのまま寝ちゃったんだっけ
目…腫れちゃったかな

「空…」

『ん?』

反応がない
寝言みたいだ

『武そろそろ起きなきゃ』

山本の腕をかるく叩く

「んー…」

『たけしー起きて』

「ん」

やっと山本は起きたみたいだ
だけど空を抱きしめている腕は離さない

『武、腕離して〜』

「やだ」

あたしは抱きまくらですか!?
あの、お腹空いたんだけど…

「あのさ空」

『なに?』

「一人で抱え込むなよ」

山本はさらに少し腕の力がこもった

「空は一人じゃねぇんだからさ」

『…うん』

「空に無理に笑ってほしくないのな」

空は向きを変え、山本と向き合う形になった

『うん…』

「辛い思いもさせたくないのな」

山本の胸に頭を預けた

「オレだけじゃなくてみんなもいるんだから怖くねぇって」

山本は空の頭を撫でた

「それでもまた怖くなったらオレんとこ来ればいいからさ」

空は静かに頷いた

『ありがと…武』

山本は嬉しそうに微笑んだ

「空」

と呼ばれたので顔をあげた

『どうし…』

どうしたの、という言葉は山本によって遮られた
唇に柔らかいものが当たった

「空の唇って柔らかいんだな!!」

『あ…あ…』

山本は空にキスをした
山本にとってはこれが初キスだ

「顔赤いぜ〜?」

山本がニヤニヤしながら問い掛ける

『るっさい!!』

空は恥ずかしさのあまり山本に背を向けた

「空可愛いのなー」

そう呑気に笑う山本を見て悔しくなった

空はガバッと起き上がった
それにつられ山本も起き上がった

そして空は勢いよく振り返り

ちゅ

山本にキスをした。
もちろん口に

「!」

『へへっ仕返し!!さ、朝ごはん食べに行こ!!』

空は立ち上がり、部屋を出た



そのあと5分経っても山本の顔の熱は冷めなかったらしい

やはり空の方が一枚上手だった

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あきゅろす。
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