脇道寄り道回り道
キリ194740(主役三人のメール/帝王院)
※意気地なし。を踏んだハニーからのリク、俊と神威のメール、俊と太陽のメール[帝王院]の未来捏造話です。
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「もえつきるまで、あいしてあげる。」
To: カイちゃん
subject: 明日の日曜日
お買い物付き合って欲しいにょ
To: 遠野俊
subject: 用が有る
山田太陽にエスコートは任せよう。
To: サンライズ☆モエ
subject: …うぇ
カイちゃんが浮気してるにょ
来週バレンタインなのに、浮気してるにょ
明日の日曜日、お買い物付き合って欲しいにょ
To: 俊
subject: RE
まさか、気の所為じゃないの?
会長が浮気なんてさー、無理にも程があるってゆ〜かさー^^;
ま、明日詳しく聞かせてよ^^
「カイちゃんなんか、もう知らないにょ!」
それはそれは珍しい光景でしたよ。
何せ片や型破りな眼鏡っ子、片や人知を越えた絶世の美男が睨み合ってるんですからさァ、それは見物と言や、見物かも知れません。
さて、冒頭の罵倒は眼鏡っ子のものなんですがねぇ。
これまた困った事に、どうやら事の次第は極めて深刻な様でさァ。
「…」
「絶交するにょ!」
帝王院っつー、まぁ、世が世なら貴族、はたまた大名家に将軍家、と言う選ばれた身分の子息しか通えない、なんて大層な寺子屋が話の舞台ではありますが。
眼鏡っ子はそりゃもう、逆に珍しいからっきしの庶民でしてねぇ。特技と言えば食欲、食えるもんと見りゃ骨の髄まで貪り尽くすのが礼儀、なんて半ば本気で信じてるそうでさァ。
座右の銘は『尽きるまで』、だか何だか。
燃え尽きる、は良く聞く言葉ではありますがね、萌え尽きるとなりゃ同音異義、困ったもんだ。
「………」
さて、確かに庶民は珍しいかも知れません。然しねぇ、こちらの殿方も大概奇特な御方だ。
誰もが見惚れる様な容姿に、銀月を思わせるしなやかな髪、満月の雫を掬い固めた様な蜂蜜色の眼差しは甘く甘く、佇まいそのものが絵に描いた様でした。
さて、この色男。
帝王院を支配する最高責任者、通称中央委員会生徒会長、加えて『神帝』などと言うご大層にも程がある二つ名、いや、三つ名があるそうでしてねぇ。
名を帝王院神威、IQだか何だかで色男を計れば400と言う数値を叩き出すらしいですよ。
聡明な子供ばかり集めた帝王院の平均が120、普通一般で100前後、これでその男がどれほどのものか語るに落ちましたな。
全く、世の男は何を恨めば良いのか判りませんよ。
外見、身分、頭脳。
三拍子揃い踏みで360度死角無し、流石は神様だと呆れちまう。
「………俊。」
さて、世にも珍しい光景だ。
常に冷静沈着、表情筋がイカレてんじゃないのかと思わせる、そのむやみやたらに整った美貌が目に見えて狼狽えてますよ。
「…」
その手には小さな箱、交際何ヶ月目だかの記念に用意したささやかなプレゼントは、中を見て貰う事すら出来ず何だか寂れて見えますやな。
男はじぃっとそれを見つめ、何を思ったのか窓を開けると、腕を大きく振りかぶり、
「駄目ェ!!!」
今まさに小さな箱は地上20階から地面へ、と言う土壇場に、眼鏡っ子が色男の腕を抱き付いて止めた様です。
珍しく目を瞠った色男、眼鏡っ子が抱き付いている腕を硬直させて、肩で息をしている眼鏡っ子を空いた腕で抱き寄せました。
「俊」
おやおや、何処から見てもラブラブだ。何の照れも躊躇もなく恋人を引き寄せて、ズレちまった眼鏡を剥ぎ取れば、世に言う口付けはすぐだとよ。
「ぅ、む…、むにゅん、ふ…むにょ、むにょ、んむ─────カイちゃん」
「形にしたかっただけだ」
眼鏡を失った庶民は、これまた珍妙な事に凄まじく目付きが悪い。
他人が見たら色男と極道だ。
然し、何を思ったのか眼鏡っ子、床に落ちた黒縁を見つめ、短く息を吸い込む。
あわや捨てられ掛けた小箱を奪い、恐る恐る開けば、
「オニキス、…お前の瞳に良く似た黒曜石だ」
艶やかな闇色の宝石が慎ましく輝いた、指輪。
一般人じゃ到底お目に掛かれない、然しこの色男にしちゃあ安い指輪に瞬いて、
「これ…」
「買い与えられる事を良しとしないお前は、至極の宝石だろうが受け取りはしないだろう」
だから、作った、と。
囁く色男に、くしゃりと顔を歪めた庶民は今にも泣きそうでさァ。
「じゃ、…最近メールが遅かったのは」
「済まない、想像以上に難航した。黒曜石のカッティングから手を入れたのは失敗だったと言うより他無い」
「…カイちゃんが作ったにょ?」
「ああ、プラチナの溶接は比較的容易だったが…職人の技には程遠い」
指輪を摘み上げた色男、その全知全能を発揮し拵えた指輪を暫し見つめ、愛しい人の左手を奪う。
奪う、と言うには無駄ない優しい所作だ。
「繰り返される夜と同じ、不変にして永劫の愛を、…お前に」
「うぇ」
「我が身が腐り去ろうと、我が魂と共に永遠の愛を誓おう」
「ふぇ」
「─────冥府の果てまでも。」
さて、ぐっちゃぐちゃな恋人の顔に口付けを落としまくる色男、実はメールの返事くらい訳無かったのです。
片手で指輪を作りながら片手で携帯を操作する、なんて人外な器用さを持ち合わせておいて、わざわざメール返信をいつもより遅れさせたのには理由がありましてね。
『浮気疑惑に燃え上がるカップル』
と言う、甚だ馬鹿らしいBL漫画にハァハァしていた恋人を、少しだけ嫉妬させたかったそうですよ。
まぁ、本当に浮気する様な甲斐性を持ち合わせていない神帝陛下に出来る、ささやかな仕返しと言った所でしょうか。
「ふぇ、浮気してないにょ?うぇ、浮気攻めになってないにょ?」
「何の話だ。俺の見える世界にお前以外の姿は無く、俺の聞き取る世界にお前以外の声は響かない。…俊、」
「カイちゃ、」
「言葉で足りぬ想いは形に、形で足りぬ想いは、」
ひょいっと恋人を抱え上げ、
「─────躯で示そう。」
至極ゆったり寝室へ向かう神帝陛下が、無駄に上機嫌だった様な気がすると後に目撃者は語る。
「むっつりエッチ」
「この命燃え尽きるまで、甘んじて罵りを受けよう」
「じゃあ、…燃え尽きるまで愛してあげる。この俺の命が」
「…ほう」
「明日はバレンタインだからなァ。」
キラキラと。
妖しく甘く煌めく左薬指を眺めながら、猊下は陛下に笑い掛けたそうな。
指輪一つで浮気を案じ、指輪一つで美味しく召し上がられた眼鏡っ子は、不憫だろうか。
「俊…」
「ぁ、ふぇ、あ!バレンタインチョコ作らなきゃ!明日はバレンタインにょ!」
「後にしろ、俊」
「駄目にょ、カイちゃんしつこいからエッチしてたら間に合わないにょ!」
さてさて、何にでも盛り上がれる恋人とは幸せだ。
「バレンタインなど気に止まずとも、」
「タイヨーにチョコあげる約束したにょ!
ハァハァ、ホワイトチョコが良いかしら!カカオ99%は甘いにょ!藤都には甘く感じられるにょ!」
「……………」
まァ、振り回されて不憫なのは、惚れたもんの弱味、って言うお話ですか。
終わっとけ。
リク無視、季節無視ですいませんっ!orz
メールは頭の数行だけと言う…不甲斐ないっ!orz
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