脇道寄り道回り道
キリ98410(オタク争奪戦/帝王院)
※悔しいです!を踏んだハニーからのリク、俊争奪戦ギャグ[帝王院]の未来捏造話に他カプを混じらせてます。出来るだけ多くキャラ登場させてますが、ギャグになりきれていないので出来るだけ早めにブラウザバック←





その日は何だか皆かなり可笑しかったと後に山田太陽は語る。





然しそれは何の前触れもなくやって来たのだ。いやもう、いきなりやって来たのだ。





「桃味の飴ちゃんはいつも美味しいにょ」

オタクがペロリンキャンディを貪っていた。山田太陽は後にそう語る。
隣には帝王院が誇るキラキラ王子、正確には高坂日向の姿と、逆隣に帝王院が誇るキラキラモデル、正確には神崎隼人と言う二人の金髪イケメン。


「おい、テメーらどっちも退け」
「黙れ嵯峨崎、息の根止めるぞ」
「ユウさん、あっちいけー、なんてねえ」

ピアスだらけの右耳にカラフルなペロリンキャンディを競馬場のオッサンが赤ペンを刺す様に突き刺し、ピアスだらけの左耳に吸い付いてくる兄を片っ端から無視した佑壱がオタクの両隣を睨む。

「遠野、二人を甘やかすと付け上がるぞ。…つかブッ殺してぇ」
「今日はポニーテールか。俺はうさちゃん気分なんだがなぁ、馬鹿壱」
「賑やかですねぇ」
「そんな問題か〜い」

にこやかに微笑む叶二葉が何故太陽の隣に座っているのかは甚だ謎だが、テーブルの真向かい、地味ん党推薦山田太陽の親友にして毎晩毎晩ベッドに潜り込んでくる腐所属左席会長の、下。



「バナナ味の飴ちゃんも美味しいにょ」
「そうか」
「牛乳と一緒に食べたらもっと美味しいにょ!」
「そうか」

バナナオレを知らないらしいオタクの下。
飴をカリカリ噛んでいるオタクを膝抱きし、日向と隼人の二人から殺人視線を浴びている男の姿が見える。


「カイちゃんも、あーん」
「ふむ、擬似巨峰か」

茶髪ボサボサ頭に、2009年の00がレンズと言うハイセンスな眼鏡を掛けた、オタクだか変質者だか判らない長身。

「今日は茶髪かい。いっそカブるなよ、アキバ系ならアキバ系らしく黒髪勝負して欲しいですー…」
「おや、風紀規則ではブリーチ並びにお洒落眼鏡着用を許可しています。寧ろあの眼鏡…是非私も手に入れたい!」

オタクから差し出された食べ掛けのバナナキャンディを、パクっと噛み砕いたヅラ着用の神威を見つめながら白けた目で隣を見る太陽は、いっそ清々しいほど無視していた逆隣から伸びてきた腕にぎゅむっと抱き締められ、声にならない悲鳴を噛み殺す。


「うーん、今日は匂いが違う?…何処の男の部屋に泊まったのかな、アキ」
「ひ、ひぃいいい、匂わないでー!今日は俊と大浴場に行ったんですーっ」
「浮気攻めあっちいけー!」

太陽の項に鼻を寄せ、くんくん嗅ぎ回る西指宿に俊が眉を吊り上げ、



「…ウエスト、緑茶が飲みたくなりました」

凄まじい微笑を滲ませた紅茶大好き男が眼鏡を押し上げ、何はともあれ高坂日向の表情が痙き攣る。

「りょ、緑茶ですか、セントラルマスター」
「ええ、緑茶ですよ。…勿論、買ってきて頂けますよねぇ」

疑問文ではなく『買って来ないなら殺すぞ』と言う副音声まで聞こえた気がする太陽以外は背を正し、しゅばっと立ち上がった西指宿が親衛隊と共に走り出していった。

「ふう、ではロイヤルミルクティーのお代わり下さい」
「畏まりました白百合様」

優雅にカップを掲げる二葉に皆の痙き攣った視線が注がれ、


「二葉先生、流石ですっ。浮気攻めに弄ばれる平凡受けをさり気なく守る鬼畜攻め!ハァハァ、たまに見せるデレに僕は心停止寸前っ」
「おや、ただ私は緑茶が飲みたかった様な別にどうでも良い様な気がしただけですよ。こんなデコっぱち助けてどうします、不愉快な」
「不愉快で悪うございましたねー…」

不貞腐れた太陽は頬を膨らませ、オタクの鼻血を吹き出させつつ鬼畜の眼鏡にヒビを入れた。



「ハァハァハァハァ、もう無理にょ!アレがアレしてもう無理にょ!」

しゅばっと立ち上がったオタクが拳を握り、声高に宣誓した。




「第一回☆萌えて捕まえて渚のシンドバットにょ!」



生徒会役員でもなければSクラスでもない健吾と裕也が、上半身裸で執務室のバルコニーに寝転がり日焼けサロンごっこをしていたが、その叫びに飛び起きた。
兄を無言で殴り付けていた佑壱が耳からポロリとキャンディを落とし、にまにま笑う隼人の隣、きょとりと首を傾げる神威と日向がテーブルの上で拳を握り締めているオタクを見上げる。


「渚のシンドバットって…俊?」
「見事捕まえた人には萌をお約束しますっ」

親友がテーブルから落ちない様に両腕を広げた太陽は、無駄に長い二葉の足に躓き、つるっと転び掛けながら然しオタクを見上げている。

「鬼ゴッコだよ、タイヨウ君(∀)」
「ポロリもあるよ、が雪合戦とドッジボールだぜ」
「総長…ごほんごほん、遠野のゲームにゃ何かしら景品が付いてんだ」

書記の癖に一切仕事をしない佑壱が兄に焼きたてクッキーを押し付け執務室から追い出し、綺麗に焼けたクッキーを俊の前に、そこそこ綺麗に焼けたクッキーを太陽の前に、形が崩れたクッキーを健吾達に放り、先程から執務室の隅で佑壱が溜めた書記の仕事を片付けていた要の今にも発狂しそうな顔の前にビスケットを置く。


「何故、俺がユウさんの尻拭いをしなければならないんですかね…」
「だからお前にだけ特別にビスケットを、」
「僕を捕まえた人には、何でも一つお願いを聞きますっ!」

オタクの台詞に太陽以外の耳がダンボになった。



「…何でも?」

日向が鬼畜俺様攻めの表情で呟き、

「つまり、ボスといっしょのお布団で寝よーが、ボスといっしょにお風呂エッチしよーが、オッケーってことー?」

にまにま笑う隼人が見えない尻尾を振り回しつつ佑壱に殴られながら首を傾げ、

「と、遠野、の、部屋にお泊まりしても、良いんスか?!」

舎弟に成り下がった佑壱がポニーテールな尻尾を振り回しながら頬を染め、

「と、遠野君と、クラシックコンサートに行きたい、と言うお願いも良いんですか…?」

書類を片付ける手は休めず、寧ろ先程より早い動きで書類を片付けながら興奮した面持ちの要が見えない尻尾を振り回し、

「つか、走るのなら負けないっしょ(´Д`*) 俺の勝ち決定、やるやる、やりたいっス!!!」
「総長と、遊園地…」

乳首もタトゥーも丸出しな健吾がストレッチしながら手を挙げれば、定番デートスポットと言う見出しが燦然と輝く雑誌を片手にクールな美貌を輝かせた裕也がじりじり近付いてくる。
どうでも良いが服を着て欲しい太陽は、二人の裸に目の遣り場を失い足元ばかり凝視していた。



「鬼ゴッコとは、何だ」
「カイちゃん鬼ゴッコ知らないにょ?鬼さんが追い掛けっこするにょ。鬼さんから捕まったら、捕まった人が鬼さんになるにょ」
「ほう」
「全く、我々は高校生ですよ遠野君」

インテリ眼鏡を優雅に押し上げた二葉にビクッと震えたオタクは、然し負けじと眼鏡を押し上げようとしてポロリと黒縁を落とし、


「シュ、シュンシュン、眼鏡落ちたよ〜」
「ああ、ピナタ有難う」
「だめー、眼鏡禁止ー、かわいいボス歓迎ー」

天下の光王子の頬を染めつつ受け取った黒縁を隼人に奪われ、何をしても似合うモデルの黒縁眼鏡姿に無表情で萌えながら二葉を見つめる。



いや、睨んでいる様にしか見えない。

太陽以下、全てのカルマが正座した。微笑を浮かべて睨み返す二葉はやはりド鬼畜なのかも知れない。


「聞くがイイ、萌を知らぬ青少年。俺がもしもうっかりタイヨーを捕まえてしまったら、



『ゃ、ヤダっ、俊やめて!』
『悪いなタイヨー、良く考えたら俺でも不良攻めイケる気がするんだ…』
『やめろよ!と、友達じゃなかったのかよっ?!』
『友達じゃ、…耐え切れないんだ、もう』
『嘘吐き…!し、信じてたのに!』
『そう、…俺は嘘吐きだ』」

聞き慣れたオタクの台詞に太陽は乾いた笑みを一つ。


「「「「「………」」」」」
「シュンシュン、格好良い…」

茫然自失のカルマ一同を見つめながら、無表情と言うか今にも宇宙を破壊しそうな凛々しい表情でのたまう俊を潤んだ瞳で見上げる日向に腰を抜かす。

「副会長って何だか受けっぽいよ〜な…ゲフ」
「『ずっと友達の振りを続けるなんて、残酷だ。だからもう、我慢はやめる』
『俊っ、』
『俺と、手を繋いで下さい!!!ハァハァハァハァハァハァ』


  ………はァ、やっぱり僕には無理にょ」
「想像力豊かな人ですねぇ」

想像の中でも攻め切れない童貞は、白けた表情の二葉をキッと睨…いや、見つめ、



「これを見るにょ!」
「そ、それは…!」

しゅばっと胸ポケットから取り出した写真を二葉にだけ見える様に突き付け、



「俺を捕まえた暁には、別バージョンも付けて焼き増ししてやろう、萌に餓えた狩人よ」
「…面白い。あの時の屈辱を晴らす絶好の機会じゃねぇか、手加減しねぇぞカイザー」
「望む所にょ!」








リーンゴーン


「あ?」

大聖堂の鐘が響き渡り、クッキーを貪っていた赤髪の男がチワワに囲まれながら顔を上げる。

「烈火の君、お口にクッキーが!」
「紅蓮の君がお作りになったクッキーが!」
「烈火の君、お口に合うか判りませんけどっ、僕が作ったチョコレートケーキも、」

チワワ達の台詞を掻き消す様な放送が響き渡った。



『只今より、第一回☆萌えて捕まえて渚のシンドバットを開催する。これよりティアーズキャノン全域を封鎖し、関係者以外の立ち入りを制限する旨申し伝えよう。
  現在キャノン内部に残っている生徒は速やかに下校し、業務整理中の教職員は俺の部屋で職務を果たすが良い』

明らかに神帝の声である事に生徒は黄色い悲鳴を上げ、教職員一同は青冷める。



誰が帝王院で一番恐ろしい生徒の部屋になど行くか、明日残業になろうが今すぐ職員寮に帰った方がマシだっつーの!


と言う無言の叫びで意気投合、全ての教師が素早く校舎から逃げ出し、クッキーを咥えたまま窓から飛び降りようとしていた野性児兄が首を傾げる。




「で、一体何なんだ?」










その日は何だか皆かなり可笑しかったと後に山田太陽は語る。

戦場と化したティアーズキャノンは最早筆舌に尽くし難いのでこの際割愛するが、追い掛けられる筈のオタクが何故か人気の無い非常階段の隅で膝を抱え、誰も追い掛けて来ないとひっそり涙していたのは誰も知らない。




「テメェ、そこ退けや嵯峨崎…!」
「煩ぇ馬鹿猫が、テメーなんざに総長は渡さねぇ!」
「カナメちゃん、諦めてギブアップしなよー。ボスは隼人君が捕まえるんだからあ、みんな寮に帰った方がいいんじゃないかなー」
「喧しい、総長とクラシックコンサートに行くのは俺の夢です!総長とカラオケに行くのと同じくらい切望しているんです!」
「ユーヤぁ、一時相棒解消じゃぞ( ̄〜 ̄) …今日はテメーも敵っしょ(T_T)」
「へぇ、テメー如きが好い度胸だぜ。…久し振りにブッ潰してやるよ、ケンゴ」
「おや、皆さん目障りですよ。………遠野は俺の獲物だ。貴様ら片っ端から咬み殺すぞ、あ?」



人間を越えた速さでしゅばっと走り去ったオタクを見失った事にも気付かず、一触即発ムードを醸し出している皆を眺めていた太陽は現実逃避している。



「いつの間にか校舎から出られなくなってるしー…あははー…」

親友だと信じていたオタクの所為で不良に囲まれながらBLゲームに勤しむ彼は、親友だと信じていたオタクが平凡受け大浴場隠し撮りブロマイドを眺めながら泣き濡れている事に気付いていない。



「シュンシュンは俺のモンだボケが!」
「黙れ淫乱、一辺死ね!」
「いい加減にしないと濡らさずに突っ込んじゃうよー、カナメちゃん」
「貴様は総長に近付くな、変態が!」
「交響曲第45番、ヨーゼフ=ハイドン、嬰ヘ短調…告別
「オレに効く訳ないぜ、単細胞」
「然しカメラ持ち込み禁止の大浴場で撮影するとは…。ふむ、今回限り見逃しましょう遠野君」











「誰も追い掛けて来ないにょ、ぐすっ」
「そうだな」
「……………あらん?」
「俊、ピーチジュレを添えたシフォンがある。食え」

めそめそ泣き濡れているオタクの隣に、無表情でケーキの箱を差し出してくる壮絶なまでの美形。

「カイちゃん、追い掛けて来たにょ?」
「俺は初めから此処に居る」
「カイちゃん50メートル走、何秒?僕は6秒くらいにょ。でも新刊発売日の萌に駆ける情熱は5秒くらいですっ!」
「4秒フラットだ」




世界記録ではないか。





「カイちゃん、鬼さん?」
「ああ、捕まえた者に褒美があるんだったな」
「カイちゃん、タイヨーのお写真欲しいにょ?」

胸ポケットに手を突っ込んだオタクが、





「褒美ならば、…俺の子供を孕むだけで良い」


鬼と言うには美しい男に唇を奪われたのは、二人しか知らない。





「つか、俺の出番無いんかい。ほんま酷過ぎるわー…くすん」
「宮様、お気を確かに!」
「宮様は私達の希望です!」



…何だそれ。orz
全くリクに沿ってませんが、律様に捧げます。煮るなり焼くなりスルーするなりお任せしますっ。すいませんすいませんすいませんorz

ギャグって何だーーーーーっ!!!


←*#→
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!