脇道寄り道回り道
とあるカルマの極平凡な一日
「…とうとうこの日がやって来ました」

じゃがりこをポリっと齧った一人が呟くと、カールを指と言う指に嵌めていた一人がゴクリと息を呑み、ポッキーのチョコだけを舐め取っていた一人が瞬きを忘れ、メルティーキッスを口の中で溶かしていた一人が目を閉じた。

「ちょい待て、さっきからナレーションがお菓子の紹介しかしてない」
「メーカーの回しもんか」
「堅あげポテトがうまい」
「カラムーチョは細切りの奴が好き」
「あ?テメーら、ピザポテトの底力を舐めんな」
「待てよ、俺のハッピーターンが最強だぞ」
「プリッツ」
「キャベツ太郎」
「蒲焼さん太郎」
「あ、それはうまい」
「暴君ハバネロ」
「真っ赤な暴君は副総長だけで間に合ってる」
「右に同じ」
「ユウさんの前世はゴリラなのかヒトラーなのか、ひょっこりはんに聞いてみよう」
「コックリさんだろ」
「全部ひっくるめて、ゴリラーってのは?」
「たった今カルマに天才が産まれました」

カフェカルマのランチタイムが終わって、片づけも一息ついた頃。外は既に日が傾いていて、厨房は現在バータイムの仕込み中である。
シャッター街寸前で粘っている商店街の夜は、昼間よりずっと人通りが少ない。カフェカルマのバータイムは、18時から22時までの4時間、ランチタイムは基本的に毎日行っているものの、夜は不定休だ。バーにしては閉店時間が早く、店の都合でいつ開店するか判らないと言う形式の為、開店当初はメンバー目当ての女性客も多く来店していたが、近頃は専ら、商店街のおじさま方か近所の老夫婦が夜の散歩がてら立ち寄ってくれている。

「今日は俺らカルマの脇役メンバーを紹介するって、神様のお告げが聞こえたんだ…」
「マジかよトーマ、いつからそこまで頭の病気が進行したんだ?」
「何処の新興宗教?」
「どうせアレだろ、藤都幟岐とか言う作者だろ」
「何処にでもいる腐女子な」
「…女なんか信じられっか。自称Dカップの女は、脱いだらBカップもねぇ」

神出鬼没なシーザーの目撃情報が多い土曜日の夜となれば、一目見たいと商店街を彷徨く若者も多い。然し、カフェカルマが暖簾を掲げている商店街に迷惑を掛けると、『シーザーからレッドスクリプトが届く』と言う噂が、まことしやかに流れているそうだ。にわかファンに釘を刺す為、昔からのファンが勝手に流したものの様だが、実際のところ、まるっきり嘘でもなかった。
カフェカルマから最も遠い、商店街の北西出入口の前の信号を渡った所にあるコンビニ前で、深夜に騒いでいたとあるチームの十数人は、夜の散歩中だった老夫婦に絡み迷惑を掛けた事でシーザーの激怒を買う事になる。

絡まれて酷い目に遭ったと、困り顔でバータイム後の片づけをしていたカルマに立ち寄った夫婦は、店先を掃除していたメンバーが見つけて店の中へ入れた。
いつもの散歩コースに入っていたと言うコンビニの前で起きた話を聞いたメンバーは、ご愛顧にしてくれている客が怪我をさせられたと聞いて、すぐにでも飛び出していきそうな気配を醸し出したが、その狂犬らを余所に真っ先に飛び出していた男こそ、カルマ史上最強、怒らせたら宇宙一やばい指揮者だったのだ。

斯くして、たった一人でコンビニの前にいたヤンキーを殲滅した挙句、彼らにチームのリーダーを呼べと凄まじい眼光で脅迫した男は、仲間を連れて駆けつけてきたリーダーをその場で半殺しにする事になる。

相手がカルマの総長だったと彼らが知ったのは、嵯峨崎佑壱以下、その日カフェにいたメンバーがコンビニの前に集結してからだ。

『…総長。それ以上やったら、流石に死にます』

と思わず佑壱が割って入った時に、漸く彼らは気づいたらしかった。
シャッター商店街を根城にしている赤毛の長髪を知らない若者は、都内には恐らくまず存在しない。

『死にはしない。何故ならば、殺す方がずっと簡単だからだ』
『…』
『俺は、己の力が通用しない人間から甚振られる恐怖を教えているだけだ』

助けてくれと、誰かが呟いた。
両手を他人の血で染めた男は神々しいほどの笑みを浮かべて小首を傾げると、『黙れ』と囁いて右腕を振り上げる。反射的にその腕を掴んだ佑壱は、無言で首を振った。

『指揮者が腕を振るのは、指揮をする時でしょう?』
『イチ、俺は間違ってるのか?』
『間違っちゃいねぇと思いますが、…やり過ぎです。そいつらにはもう、刃向かう気力なんざ残ってない』
『コイツらは「弱い年寄りは消えろ」と言った。愚かな道理だ。然しその道理が通用するなら、弱い若者も消えるべきだろう。何が悪い?俺より弱いコイツらか、俺が少し力を入れると砕けてしまう、お前の腕か』
『砕きたいならどうぞ』
『何も悪くないお前を傷つけたら、俺が悪役じゃねェか』
『煩ぇケンゴすら、アンタにビビって黙り込んでんスよ。腕の一本や二本、欲しけりゃどうぞ』

その代わり暫く飯抜きっスよ、と。真顔で吐き捨てた佑壱の背後には、遠巻きにしているカルマの姿がある。常になく残虐性を見せつけている飼い主に怯えて、尻尾を巻いた子犬の様だ。

『幾ら痛めつけても何にも面白くないんだ。なァ、イチ。俺は可笑しいのか?』
『そいつらが可笑しいんです』
『そうか』
『でも総長、真中さん達は此処までしてくれたぁ、思ってないんじゃないっスか?真中のじーさんは、一発くらい殴り返してやれば良かったって言ってましたけど…』
『そうか』
『…アンタの場合、一発でも殆ど致命傷みてぇなもんでしょ。馬乗りで袋叩きなんざ正気の沙汰じゃねぇ。要に救急車呼ばせたんで、帰りますよ』

素直に『判った』と言って虐殺じみた公開処刑を終了した男は、外していたサングラスを掛け直して店へ戻った。
通報を受けた警察や救急が駆けつけても、袋叩きにされた少年らは決してシーザーの名を出さなかった様だ。彼らは身を以てその恐ろしさを知ったのだから、無理もないだろう。コンビニの店員も『知らない』の一点張りで、結局の所、単独チームの内輪揉めで片づいた様だった。

大体毎日ほのぼのしているカルマのほぼ全てが狂犬だったが、クレイジーレベルで言えば、総長を超える者はいない。黒髪でも銀髪でもサングラスでも裸眼でも、寝ている時の寝相や食べている時の食いっぷりでさえ、とにかく目立つ。何せ奴は主人公だ。



「やっぱオーソドックスなポテチが一番うまいって、うすしお。飽きがこない安定感な」
「判るー」

然し、今回のスポットライトは総長に当たっている訳ではなかった。

「えー?ポテチは九州しょうゆだろ?」
「コイケヤのしあわせバターだろ?総長はどう思うっスか?!」
「ん?俺か?」

騒がしいカフェの中では存在感薄めな男は、カウンター席の中央で『今週のランチメニュー』を看板に書いている。黒板が貼りつけられている立て看板は、毎週総長がチョークで書き換えているのだが、客には知られていない。

「俺はBIGバッグなら何でも…」
「とか言いつつー、総長たまに、のりしおと浮気してるよね!」
「さーせん」
「総長のメンタラ野郎っ、うんめー棒が一番だろ?!だって美味いからうんめー棒なんだから!」
「メンタラって何だ、トーマス?」

ガンッとボックス席のテーブルを殴りつけたメンバーに、皆の視線が注がれた瞬間、カウンターの向こうから飛んできた『おたま』がスコーン!とヒットする。

「テメーら、店の備品壊したら頭かち割んぞコラァ!当馬ぁ、テメー総長にメンヘラっつったか?!」
「さーせんでしたユウさん!イケメンタラシ野郎なんて言ってません!ごめんなさい!」

佑壱のおたま命中率は、脅威の93%だ。
遠野俊と高野健吾以外には100%命中するのだから、優秀なヒットマンになれるだろう。然し嵯峨崎佑壱の場合、射撃に頼る必要がない腕力があった。バイクを抱え上げ、軽自動車を持ち上げる化け物じみた腕力だ。アメフトのプロチームでも、ゴリラ界でも、今すぐに活躍するに違いない。

「イケメンタラシ?総長、俺を誑して下さい」
「うひゃひゃひゃ!(*/ω\*)」
「…あ?誰だオレの高反発おケツ叩いてやがるのは、セクハラかよ」

帳簿をつけていた錦織要と、テラスにホットプレートを持ち出しスーパーで買ってきた半額の肉を焼いていた高野健吾の声が加わり、同じテラスで豪快に寝ていた藤倉裕也が目を覚ます。

「はっ。総長が誑かすのは俺だけだ、雑魚共はすっこんでろ」
「えっ」

舎弟が持ってきたおたまを受け取った佑壱が宣うと、カウンター席のサングラス野郎がダイエットコーラを吹き出した。
『えって何だ、えって』と言わんばかりの笑顔で拳を鳴らした佑壱に見つめられ、カルマで一番偉い筈の総長は、そそくさクネクネ、書き上げた看板をレジの脇に移動させている。基本的にカルマのオトンはチキン野郎だった。時々サイコパスさを覗かせるが、普段は存在感も薄く、何でも出来るわりに何の役にも立たない男でもある。

「総長、何で逃げるんスか」
「逃げてないにょ」

遠野俊は典型的なB型、つける薬がない程には馬鹿だ。
熱し易く冷め易いと言われているが、終わりがない迷宮と名高いBL界隈に迷い込んだのが運の尽き、もう何処にも戻れない。ホモをわりと至近距離から見守りたいと思っている。

「昔の高坂や山田は誑かす癖に、この俺を誑かさねぇなんて事ぁ、ないでしょう?」
「あにょ、あにょ、ごめんなしゃい…」

何でも出来る様で何も出来ない男は、特に家事の類はダメンズ度が上がる。
掃除をさせれば何処かからか隠し食材を見つけ出し、洗濯をさせれば皺と言う皺が消えてなくなる特技を持つ。ダメージ加工を施されているシャツやジーンズまでもパリッと仕上がってしまうのは、干す時に俊がやる『パン!』の所為だろうと思われた。一発のパン!で、皺と言う皺が虚無の彼方に吹っ飛ぶのだ。そして時々、ファスナーやボタンも吹っ飛ぶ。

「何に対して謝ってんスか、総長」
「ごめんなしゃい…」

赤毛の目の前で深々と頭を下げた極悪面は、嫁の顔が余りにも恐ろしい笑顔なので見つめられなかった。

「総長…ゴリラより強いティラノサウルスパワーの持ち主なのに、何で尻に敷かれてるんだろ…」
「父ちゃん、負けないで…!」
「総長…!俺が、俺が代わりに副長を誑かしてきます…!」
「落ち着けマサフミ、死ぬ気か?!」

不味くないのに食が進まない不思議な色の創作料理か、『新しい味を見つけたい』などとほざいて普通に不味い料理を生み出す『オトン』は、カフェカルマ限定で台所進入禁止だ。佑壱のマンションの厨房も出入り禁止になりつつある。ブラックホール胃袋が原因と見て、まず間違いない。

「副長、総長の代わりに俺で我慢してくれ」
「失せろ将文、雲の彼方に吹っ飛ばすぞ。テメー如きに総長の代わりが務まると思ってんのか、臍でクラムチャウダーが沸くわ。罰としてヒンズースクワット一万回やれ」
「腹筋5000回で勘弁して下さい…!」
「暇なら掃除でもしとけFuckin' shit、どいつもこいつも燃えるゴミに出すぞ」

カウンター越しに恐ろしい目で睨んでくる赤毛に怯えた犬達は、お菓子をいそいそと隠してボックス席を片づける振りをした。そう、あくまで振りだ。
カフェの大掃除は基本的に月一度、大抵が最後の日曜日だった。土曜日の夜に集会があるので、日曜日のランチタイムが終わると大掃除が始まる。自由参加だが、店の在庫整理も兼ねて佑壱が食事を振る舞ってくれるので、ほぼ全員参加が常だった。

今日はまだ月半ばなので、暇なら掃除でもしとけ、と言う佑壱の捨て台詞に本気は窺えない。
佑壱がいつもより不機嫌なのは、立て続けにランチタイムのアルバイトが辞めたからだった。下手なアルバイトを雇って面倒事が起きては困るので、榊雅孝は雇用する際の前提として『男で、カルマミーハーじゃない、出来れば真面目な人物』を条件に上げている。お陰様で募集を始めれば次から次に申し込みがあるものの、殆どが女性か、カルマに近づきたいヤンキーだった。稀に条件に当てはまる人間を見つけても、そう続かずに辞めてしまう。忙し過ぎたり、オーナーの佑壱の威圧感に怯んだり、理由は様々だが、今のところ一番多いのは『このままじゃシーザーに抱かれたくなるので…』だった。

榊店長は眼鏡を曇らせ、『そ、そうか。今までありがとな…』と言うより他ない。
バイトと佑壱の刃傷沙汰で血を見るより、血を吐きながら働く方がマシだと思っているからだろう。煙草の本数が増える度に、店長の貫禄と言う名の疲労が蓄積されていく様に思える。
最早医学部生の醸す貫禄ではなく、大家族の父親の様な貫禄だ。今も、夕陽を見つめながらカフェ入口のドアに背を預け、紫煙を燻らせている様がガラス越しに窺えるが、哀愁が凄い。

「太郎、どんまい」
「榊です」
「太郎、コーラZERO飲むか?」
「酒は昔辞めたんで」

いつだよ、と。
オカンに怯えて外で黄昏ている総長と店長の会話を聞いていた健吾と裕也は、無言で顔を見合わせた。元ホストの台詞らしいとは思ったが、榊雅孝がカフェ開店前にホストクラブだったこの店で働いていたのは、初期カルマ時代だ。俊が加わるほんの少し前の話だった。

「…榊ってまだ21歳だろ?ホストん時って何歳だった訳?(´・ω・`)」
「オメー、数学得意だろケンゴ。引き算しろや」
「俺はいつでも足し算しかしねぇ男っしょ」
「ポジティブシンキングかよ。オレは割り算しかしねーぜ。今の眠たさパーセンテージは280%だ」
「それもう掛け算じゃんw(ヾノ・ω・`)」

さりとて、今回の主役は元高校生ホストでも、数学と算数の区別もついていないテラス席のパリピ組でもないのだ。

「駄目だ!ちょっと油断すると、総長とか副長とか四重奏とか榊の兄貴、こってりキャラに食われる…!」
「良く言ったふじこ!そうだよ、とうとうこの日がやって来ました!」

そう、今回のスポットライトは、

「ね〜、おまつ。あっち何で騒いでんのかしら〜?」
「知らな〜い。あ、うめこ、髪の根元が危険区域に来ちゃってるわよ〜」
「やっべ、染め直さないとおたけに絞られるかも〜」
「竹林君、俺のあそこ絞ってくんないかな〜。365日無休で準備万端なんだけどな〜」
「うめちゃんせんせー、松木君の存在が丸ごとセクハラなんですけど〜」
「オレには被害がないから頑張れ〜」
「酷い〜」

とまぁ、大抵365日チャラ過ぎる三匹でもない。

「やばい、文字数あとどんくらいある?!」
「今5000文字くらい…もう半分過ぎてるっ」
「後先考えずにタラタラ書いてんじゃねーよ、クソ作者!」

すいません。

「俺らって結構ハードなプロフ保持者しか居ねぇと思うんだけど、スポットライト当てちゃって大丈夫なの?」
「だよなぁ…」
「本編じゃ出現率低過ぎて、レア度高い感じになってるもんな」
「俺らだってカルマなのに、シロップより扱いが悪いのが腑に落ちねぇ」

と言う様に、ワンコ共がグズグズ煩くなってきたので、仕方なくしっかりキャラ設定を練る事にしました。2009年の連載開始から実に十年、2019年の奇跡と名づければ、ただのエキストラもメモリアルな装いになるかも知れない。多分。

「皆、元気だなァ」

ワンコ共が声を潜めている傍らで、コーラZEROをしばきながら微笑ましげに眺めているオタクを余所に、只今より『結構ハードなプロフを保持』しているワンコを一挙に紹介したいと思う。
然しながら、最もハードなプロフを保持しているのは遠野俊であり、わりと手の施しようがないくらいイカれているのも彼だった。だから主人公なのだが、腐男子と言う上乗せ設定で見事に全てが台無しになっているので、今回も大差はない。

愉快なカルメンに暗い過去があろうがなかろうが、最終的に全員ドMだと思えばノープロブレムだ。心配して損したと言うクレームは受け付けませんので、悪しからずご了承下さいませ。

「じゃ、今すぐ自己紹介しよう!」

ナレーションで先にお詫びした所で、しゅばっと挙手した眼鏡犬に仲間からのおざなりな拍手が湧いた。
誰もが我こそはと一番乗りを狙っていたものの、言い出せなかったらしい。悔しげながらも、助かったと言う表情だ。

「俺は金城当馬(かなしろとうま)、18歳高3だけど高校には行ってません!血液型はA型、彼女が出来ても大体1ヶ月以内に振られます!」
「トーマは眼鏡キャラ!」
「あと凄く馬鹿だからバイトしてもすぐクビになるよ!」
「台湾と日本のハーフ!」
「親父はヤクザの下っ端だったけど蒸発したよ!」
「スナックでママやってるお母さんはガチ美人。トーマはママ似、死ね!カナメさんの舎弟!以上!」

本人以外から補足がつきまくっている様だが、サクサク行きましょう。
何せカルマは47人、総長・副総長、四重奏に三重奏、帝王院学園メンバーを除いても、35人居る事になる。今一人紹介したので、残りは34人だ。

「はい!磯村丈翔(いそむらたける)、丈翔を逆から呼んでショータケって呼ばれてます!血液型はO型!ゲーセンでケンゴさんをナンパして、死に掛けた事がありまス!」
「猫好きなのに猫アレルギー!」
「ユキオの幼馴染みで、一緒に喧嘩しまくってたやつ!」
「9区の商業高校に通ってるよ!ダブってるから17歳だけど、まだ一年生!」
「服装はチャラいけど、金土日は実家の運送屋を手伝ってる親孝行な奴です!ケンゴさんの舎弟!以上!」

次。

「下関遼太(しもぜきしょうた)17歳O型、ショータだけど皆からはリョータって呼ばれてまス。ハヤトさんに勉強教えて貰って、今年商業高校に受かりました。一昨年結婚してた姉ちゃんが出戻ってきて、姪っ子のお守りを押しつけられるのがやだ…」
「親も最近はショータって呼ばなくなったらしいよ!中学時代に工業高校の奴らから袋叩きにされてた所を、副長が助けてくれて舎弟になった雑魚犬!」
「コアラみたいに抱きついて、舎弟にしてくれ兄貴ーっ!って縋りついたら、面倒臭くなったユウさんが『…好きにしろ』つって許してくれたんだよな」
「餓鬼か」
「バイトはティッシュ配り!髪型は黒髪のトサカ!以上!」

加賀城獅楼が入隊するまでは皆の弟分だった為、獅楼の入隊を誰よりも喜んでいるメンバーでもある。

「春日井京(かすがいきょう)16歳、キョンっス。血液型はA型、6区の工業高校の2年生、中学時代にグレ過ぎてヤクザに片足突っ込んでた感じ。アリマとふじこは幼稚園からの幼馴染み。三人でユーヤに喧嘩売って、俺だけ左腕折られた。手加減しろボケって思わね?」
「結構イケメン!死ね!」
「父子家庭で親父が女連れ込みまくるからグレて、中一の時に親父の女寝取って親子喧嘩、最中に父親を半殺しにして児童相談所、母親に引き取られたけど殆ど帰ってませんでした!」
「カルマが警察から表彰された頃から母子の会話が増えたらしいっス、以上!」

因みに口癖は『拗らせてる』だ。

「佐藤英慈(さとうえいじ)15歳、エイチっス!族狩り時代のハヤトさんに勘違いでぶっ殺された事があります!俺は族に入った事はありません、ただ無免許で夜の街を走り回ってた普通のヤンキーです!」
「サッカー部の先輩に苛められてムカついてボコって謹慎食らってから、典型的な不良に!記憶力が良くて、入隊試験に一発で受かった要領が良い奴!」
「彼女がコロコロ変わるけしからん奴!」
「総長が居なくなって高校受験サボったけど、あんま気にしてなさそう!以上!」

全く終わる気がしない。次。

「北郷介勇(ほんごうゆきお)、AB型の17歳。通信制高校の3年、ユキオでいーよ。キタザトって言った奴はぶっ殺す」
「北中の元番長で、親友はショータケ」
「顔面ピアス野郎。両親が中学上がる前に離婚して、すぐに再婚して違う家庭を作ったんだって。最初は父親に引き取られてたけど、継母が典型的な継母だったからショータケん家で居候してた事がある」
「中学時代の非行っぷりに親がビビって、そっから仕送り貰いつつ気楽な一人暮らし」
「愛想が良いから爽やか系とか言われてる。死ね!」
「ちょいS振って彼女に平気で手を上げる所がある!総長に嫌われたくないから最近は彼女作んなくなったよ!ざまーみろ!」
「運動神経抜群、喧嘩強い系ワンコ。カナメさんに女取られた事がある!ざまーみろ!以上!」

次。

「本郷悠弥(ほんごうゆうや)、工業高校に通ってる高3で17歳、O型。ホンゴウとユーヤが二人居るから、かーなーり紛らわしいよね?俺のあだ名は、小学校の頃からゴルゴだぜー」
「南中の元番長、餓鬼の頃からテコンドーやってて喧嘩が強い」
「顔は悪くないけどイケメンでもない残念系!バイトは実家の居酒屋、シフトは平日夜と日曜日!げっ、文字数がやばい!」

マジでやばい。

「熊谷重造(くまがいしげぞう)、愛称はクマシゲで16歳、O型っス。普通の共学高に通ってたけど、カルマメンバーだってバレて、喧嘩売られたり舎弟にしてくれって迫られたりしまくって、めっきり不登校気味っス」
「タブってまた高一。始業式から早速サボってます」
「中学時代の補導歴は2回!体つきが厳ついから喧嘩そこそこ強い!」
「町中で喧嘩してた高坂とユウさんを見て、自分がお山の大将だったって悟ったんだって!カナメさんを女だと思って、ラブレター渡した事がある馬鹿だよ!以上!」

ガチでやばい。

「三軒屋大智(さんげんやだいち)、土木屋の17歳O型、呼び方はそのままダイチでOK。マサフミとは幼稚園から同じなのに、カルマに入るまで喋った事もねぇ」
「小5で親が再婚して、義父と折り合いが悪くてグレたパターン。一昨年くらいに高校に通いたいって頭下げたら、家族仲が良くなったんだってさ」
「まぁ去年は落ちたけど、行きたい学校があるっつってるから、もうちょい頑張れ!今は義父さんが働いてる建設現場で一緒に働いてるんだと!以上」

ケツカッチンなので巻いてくれている犬達には申し訳ないが、全然終わる気配がないので作者は2話に跨る覚悟を決めた。以降は消化試合をお楽しみ下さい。

「…どいつもこいつも声がデケェ」
「なぁに、一人でジンジャーエール飲んでんだよ。リョータさんはマチャフミのちょっと良いとこ見てみたい〜」
「おい、しれっと一気飲みさせようとすんなリョータ」
「俺が代わりに飲んでやるから、お前も自己紹介しとこ?拍手コメントに2件もお前について知りたいって書かれてたんだってよ、何でマチャフミだけ…俺のファンはシャイなのかな?マサフミの癖に…今すぐ死ねよ…そして何年かして生き返れ…」

金髪にピンクとブルーのメッシュが混ざったド派手なドレッドヘアに、悔しげなトサカ頭の呪詛が向けられた。悪魔も逃げ出す様な恨めしい表情で睨まれたワンコは、仕方なくジンジャーエールを差し出す事にする。

「何ぶつぶつ言ってっか知らねぇが、とりあえず大人しく座っとけ。おたま飛んでくるぞ?」
「うん…俺のポッキー食べて良いよマサフミ、2本までなら…」
「要らね」

因みにカルマメンバーは、メンバー割引でカフェメニューを飲食出来るので、ジンジャーエールは一杯80円だ。

「ちょっと何処行くんだよマチャフミ、自己紹介は?!」
「あー、…忘れてた。粟谷将文(あわやまさふみ)。17歳AB型、学校には中一の頃から行ってねぇ」
「マサフミ、もっといっぱい喋んないと覚えて貰えねぇよ?」
「誰にだよ」
「画面の向こうの世界に決まってんだろ?クール方向はカナメさんと被ってるから、もっと違うパターンのキャラ作ってこーぜ」
「知るか。違うパターンってどんなだよ」
「カルメンは明るいワンコじゃないと駄目なんじゃね?ちょっとアホっぽい方がモテるんだよ、山田君とかシロップとか。拍手コメのハニー様も言ってるよ」
「…明るくてアホっぽい?ケンゴとハヤトみたいな奴かよ、うぜぇだけだろ?」
「お前がチャラいのは見た目だけだね。お兄ちゃんは悲しいよ」
「リョータよ、テメェの方が年下だろうが」
「カルマのイメージが悪くなったら、総長が泣いちゃうかも」
「仕方ねぇな。あー…バイト先は脇役建設、社長の義兄は光華会の幹部らしいけど、興味ねぇから良く判らん。以上だ」
「…はぁ。もう全然駄目」
「何がだ。ちゃんと喋っただろうが」
「皆!マサフミを丁寧に説明してやって、画面の前のハニー様の為に!」

ジンジャーエールを一気に飲み干し、しゅばっと立ち上がったリョータの声でワンコ達がガタッとなる。

「ハニー様の為なら仕方ねぇ、一肌脱ぎますか…!」
「ったく、仕方のない子だね、とんがりコーンが大好きなマサフミちゃんは!」
「ホクロの数まで晒し上げてやるわ!」

ワンコ達がフェミニズムな使命に燃えた所で、以下次回。

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あきゅろす。
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