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無色ノ噺
優しい殺人
※先生×生徒



ねぇ…君は私のために

犯罪者になってくれますか?




――――――――――――――



今日、オレはアンタのために殺人犯になる。



――――――――――――――



悲しみ、憎しみ、怒り、苦痛…。
今、オレの中に渦巻いている感情はどれだろう?
そのすべてかもしれない。
埋もれていた負の感情が顔を晒け出し、たった一つの光すら喰らいつくそうとしている。



ガラガラガラ…



ドアを開ければ、そこは白い部屋。
機械の置かれた無機質な部屋。



あぁ…憎らしい。



「…アンタのために殺すよ、先生。」



そして、オレは無機質な部屋の中央にポツンと置かれた、白いベッドの側へ行く。

そこに目を閉じ眠っているのは、とても美しい人。
規則的な機械音に従って胸が上下している。



「殺してやんよ。」



スッと手を伸ばした先にはONになっているスイッチ。
オレはそれを…



バチンッ!



消した。



――――――――――――――



静寂。

何の音も…聞こえなくなった。

いや、ひどい耳鳴りがする。
丁度、心臓が停止した時の機械のような…。



「…先生、せん、せ…」



そっと触れた美しい人の肌はどんどん冷たくなっていく。

あぁ…消えていく。
命が、音が、光が、愛してくれたアンタが。

横たわる先生の身体からすべてを取り除き、その色を失くした唇にオレからキスをした。



「愛してる、―――さん」



やがて来た医師は、オレと先生を見て、何も言わずに背をなでてくれた。
オレの代わりに啜り泣いてくれた。

けれど、欲しい温もりはもういない。



―――モウ、ドコニモ…。





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あきゅろす。
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