無色ノ噺
3
「「「「キャーッ!!」」」」
びっっっくりした!
平凡が出て来て、驚いたのか?
「アハハ、違う違う。単に悠志さんがカッコよくなったからだよぉ。じゃ、さっきの女の人のとこ行ってねぇ?一日ホスト体験、楽しんでねぇ、ユウ。」
「…あぁ。」
まぁいいか。
さっきの女性の元へ行き、失礼しました、と笑えば、女性は華やかに笑った。
「気にしないで。でも、どういうことなの?」
「いや、ここのオーナーと仲良くて、遊びに来てたんですよ。そしたら、ホストに間違えられたりして、ならいっそ一日体験してみないか、ってことで…」
苦笑いすると、あらあら…と女性も笑う。
「私、美紀というの。あなたは?」
「僕はユウと申します。」
「ユウね。フフ…じゃあ、今日の稼ぎだけでもNo.1にしてあげなくちゃ!」
「え?」
「シャンパンタワー頼むわ。ほら、オーダーして?」
「それ、高いんじゃ…?」
「いいの、いいの!これでも私、IT産業の社長よ?それに、あなたのこと気に入ったの。」
ほら、オーダーとって、と言われ、ホストを真似して言う。
その瞬間、場がざわめいた。
カイまで、マジか!という目で見ている。
「美紀さんの、シャンパンタワー入りまぁす!」
「「「「キャーッ!!」」」」
海那が叫び、店の中央にあったグラスのタワーがライトアップされる。
華やかな音楽と供にコールが繰り返され、オレにもシャンパンのボトルを渡され、見よう見真似でシャンパンタワーに注いでいった。
ライトアップされたシャンパンタワーは幻想的で、これを飲んでしまうのは勿体ないな、と思ってしまう。
満たされたグラスの一番上を美紀さんに渡し、他を店にいるお客様に配り、自分たちも手に持つ。
「では、美しきクイーンに栄あらんことを…乾杯!」
「「「「かんぱ〜い!」」」」
オレはグラスを掲げた後、さりげなく美紀さんのグラスにチンッと軽くぶつけて、
「乾杯、美紀さん。」
微笑み、飲み干した。
まさか美紀さんが真っ赤になっていたなんて、オレは知らない。
「反則よ、ユウ…」
その後も、何故か指名が殺到して、店を閉める頃には本当に今日の売上がNo.1になってしまった。
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