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無色ノ噺
僕と次期当主様

学校に、神原家次期当主様になるという、血縁関係がある方が帰国してきた。

僕はステージの下で、初めてその人を見た。
百獣の王のような隙のないカッコイイ人で、思わず見惚れてしまった。
その時、目がバッチリ合い、びっくりするほど優しく微笑まれた。

何故だろう?

その後、放課後までいつものように過ごし、いざ帰るという段階で、生徒会室への呼び出しをくらった。
周りの友達が、すごく心配してくれて、生徒会親衛隊の皆さんも、大丈夫だよ、と僕を連れていってくれた。



コンコンコン



「失礼します。」

「どうぞ。」



中に入ると、会長様しかいなくて、戸惑っていれば笑われた。
恥ずかしくて、俯くと悪い悪い、と言って頭を撫でられ、ソファーに座るよう言われた。



「初めまして、だな?壱魅。」

「え?あの、僕の名前…?」

「あぁ、覚えてねぇかもしんねぇけど、一度会ったことあんだよ。」

「そうなんだ…。」

「オレは神原史人だ。」

「ふみ、とさん…。」



頭の中で何度かその名前を繰り返していると、ハッとした。



「ふみちゃん?」

「そうそう。あの頃から可愛かったけど、よりいっそう…」

「そんな…。僕は可愛くないよ。っていうか、どっちかというとカッコイイ、って言われたい!」

「ハハ。拗ねんな、拗ねんな。けど、ほんと可愛くなった。もしかして、恋でもしてんのか?」

「え!?」



かぁっと熱くなる頬に、ふみちゃんはハハーン、と笑った。



「誰だ?オレよりいい男なんだろうな?」

「あ、ぅ…そりゃ。」



結局、僕はふみちゃんに暴露してしまった。

秋江さんが、好きなこと。
でも、秋江さんはきっとそういう目では見てくれないし、告白しても男だとか、主人だからとかで受け入れてくれないだろうこと。
最悪、気持ち悪がられるかもしれない。
少なくとも、今までのようにはいかなくなると思う。



「…そっか。そうだなぁ…ん?あ、うん。やってみる価値はあるな。よし。」

「ふみちゃん?」



何か思案したと思ったら、何やら自己完結してしまっている。



「壱魅、今日うちに来い。」

「本家に?何で?」

「何でも。いいな?」

「いいけど…。あ、秋江さんに連絡」

「オレがしとく。」

「わかった。じゃあ、お母さんのとこ寄ってからでもいい?」


もちろんと頷かれ、僕はふみちゃんの家に行くことになった。



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