闇からの声
「どこから回ろっか?」
なまえはリーマスと共にホグズミード休暇を迎えていた。
『あたしはよくわからないからリーマスに任せるわ?』
「そう?じゃあ、ちょっと付き合ってもらおうかな」
そうしてハニーデュークスで大量のお菓子を買い込んだ二人は、休憩と称し三本の箒でバタービールを飲んでいた。
談笑は続き、そろそろ出ようかというところでなまえは頭を抑える。ひどい頭痛がなまえを襲った。
しかしそれだけではない。耳の奥から声が聞こえる、まるで誰かが耳に侵入したかのように耳の奥から響いてくるのだ。
次第にその声がはっきり聞こえるようになった。
「……なまえ」
ズキン、と頭に痛みが走る。
「……なまえ」
声が大きくなる。近づいているかのように。
「……なまえ」
耳元で叫ばれたかのように大きな声で呼ばれたとき、とっさになまえは目を瞑った。瞼の裏に見えたのは、紅い眼。
なまえの意識はそこで途絶えた。
目を開けると、目の前に真っ白な天井があった。そこが医務室だとわかったのは、マダム・ポンフリーがリーマスと話しているのが見えたからだ。
「あ、なまえ。気分はどうだい?」
『えぇ、大丈夫……』
そう答えれば、リーマスはふんわりと微笑んでいる。
『……あたし一体』
「急に倒れたからびっくりしたよ」
『倒れ、た?』
「うん、三本の箒で突然ね」
『……リーマス』
「なんだい?」
『ダンブルドアを呼んできてくれない?』
「え?」
何故なまえがダンブルドアを必要としているのか、その意図がわからないリーマスはなまえの剣幕に圧され渋々ながら校長室へと向かった。一人残されたなまえは自分の肩を抱いて微かに震えている。
暫くして、リーマスと共にダンブルドアが現れた。ダンブルドアはなまえを見据えると、あのキラキラとした瞳に弧を描く。
「記憶が、戻ったんじゃな?」
「え?」
ダンブルドアの言葉に驚いたのは、なまえでなくリーマスだった。
なまえはコクリと頷くと、静かに口を開いた。
『三本の箒で、声を聞いたんです。とても懐かしくて、とても恐ろしい声を』
ゴクリと息を飲む音が静かな空間に響く。
『あれは……あれはヴォルデモート郷の声です』
その瞬間、まるで時間が止まったかのように、周りから音がなくなった。なまえは目を瞑り、思い出した過去を辿っていく。
『……それは、あたしをこの世界に連れてきた人の声』
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