ホグズミード休暇
「ねぇ、なまえ。週末のホグズミードはどうするつもりだい?」
グリフィンドール寮の談話室。隣で課題を進めていたリーマスが、いつの間にか手を止めこちらを見ていた。
『……んー、何も考えてなかったわ』
「そう言うと思った」
同じく課題からリーマスに視線を移したなまえは、苦笑しながら肩を竦める。それを見てリーマスはクスりと悪戯っぽく笑った。
「じゃあ、僕と一緒に回らない?もちろん二人で、ね」
人好きする笑顔を向けられたなまえは、とくに断る理由もないのでそれに了承。リーマスは返事を聞いて、また課題に取りかかっている。
「それじゃあなまえはリーマスと回るの?」
部屋に戻ったなまえは、ベッドに座り本を読んでいるリリーの横に座り込んだ。先程のことを話すと、リリーは唸りながら何かを考え込んでいる。
『どうしたの?』
「……実はね、ジェームズに二人で回らないか、って。なまえがリーマスと回るんだったら……」
そう言いながら頬を染めるリリー。なまえはそれを見てクスッと小さく笑った。
『素直じゃないわね、リリーは』
なまえの言葉を聞いたリリーは更に真っ赤になって、「別にジェームズなんて」と慌てている。
『いいじゃない、ジェームズと回れば?』
「もうなまえったら、楽しそうに言わないでよ!!」
『ふふ、ごめんごめん』
「なまえは僕が誘ったよ」
「俺に報告なんて、しなくてもいいだろ」
「ふーん、いいんだ」
「何が言いたいんだよ」
その頃の男子寮。リーマスを無視してベッドの上に横たわるシリウス。リーマスはハァ、とため息を吐く。
「君、素直になりなよ」
シリウスは「うるせぇ」と言ってリーマスを見ようとしない。
「じゃあいいよ。僕は本気だから、シリウスには負けない」
バタンと勢い良くドアを閉めてリーマスは出て行った。
「……俺だって」
シリウスの呟きは誰に聞こえるでもなく、宙に消えていくのだった。
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