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校長室を出たなまえは談話室へ戻るのをやめ、ある場所へ向かった。

『シリウス』
「……なんだ、なまえか。よくここを知っていたな」
『リリーから聞いたわ』
「……そうか」

そこはシリウスたちが授業をサボるときに使っている空き教室で、少し入り組んだところにあるため見つかりにくい。前にリリーからこの場所のことを聞いていたのを思い出し、シリウスを探すべく訪れてみたのだ。そして案の定、そこにシリウスは居た。
なまえはソファに寝転ぶシリウスに歩み寄る。

『シリウス…忍びの地図を、貸してほしいの』
「忍びの地図を?」
『行かなきゃいけないの、そんな気がするのよ』
「…どこに?」
『……ホグズミード』

シリウスは頭に疑問符を浮かべながら首を傾げていた。なまえはそんなシリウスの反応に苦笑しながら頭を下げる。

『お願い、ホグズミードへの抜け道がわかればいいの』
「おいおい、ホグズミードに一体何があるっていうんだ?」
『わからない……でも、行けば何かがわかるかも知れない』
「……なまえ、何があったんだ?」
『ごめんなさい…今は何も言えない』

なまえの漆黒の瞳が曇った。シリウスは頭を掻きながら訝しげに眉を顰めて起き上がると「ついて来い」となまえを促す。
シリウスに連れられ一旦談話室へと戻ると、シリウスはなまえを残し男子寮の階段を駆け上っていった。男子寮の自室から地図を持ち出したシリウスは、なまえの手を引いて人気の少ない廊下へと移動すると、地図をなまえに差し出す。

「忍びの地図は貸してやる」

なまえが受け取ろうと手を出したところで、シリウスがひょいっと自分の方へと引き寄せてしまった。

「ただし、ホグズミードへは俺もついて行くからな」
『え?』
「道案内がいないと困るだろ?」
『……シリウス』
「それに、そんな不安そうな顔の奴ほっとけるわけないだろうが」

「行くぞ」と笑ったシリウスに、なまえも釣られて微笑んだ。


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