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柵(しがらみ)※サスケ
今日ほど、この下らない里の連中に嫌われた事を幸いに思った事はない。



「行くぞ…」


俺とナルトだけの
ツーマンセルで波の国から依頼された
Sランク任務……

何かあったら
すぐに駆け付けると五代目火影は言ってたが……

『里に貢献して死んで来い』

とでも言ってるような内情の任務だ。



『あ』と記された扉に手を掛け開く。





『ん』を捨てた
俺達の『ハジマリ』…




急ぐ事は一切ない
陽が暮れるまでは
順路を辿るか……



ついでに猫婆のとこに寄っておこう…
念には念を‥…踏んだ方がいいだろう。



ナルトと手を繋いで
ゆっくりと歩く




木ノ葉の里を背に




繋いだ手は離さない…




決して……









昼近くになった頃
揃って懐かしい風景に足を踏み止め
ナルトの名が綴られた看板を見上げる



「なると大橋かァ〜、…懐かしいってばよ。イナリの奴もデッカクなってんだろーな‥」


瞳を細め滲む笑顔が眩しい。



「あいつ、オレ達の事…まだ覚えてんのかな‥」


「…ああ、覚えているさ。」

「そんならいいや。橋渡んねーと、な…」

走り出すナルトが
看板の下を潜り
自分の名前がかかれた橋を渡り
手摺に解いた木ノ葉の印が記された額当て
を結びつける。


「これで、ヨシッと。イナリに置き土産…。木ノ葉の忍だったオレのコト、覚えとけよ。」


お前の事は忘れられないだろう。
あれだけの事件があったんだ……恐らく一生、奴らの記憶から消える事はない。

橋に付けられた
名も
橋を守り
存続される限り
受け継がれて行くだろう…

そんな事を思い
俺も額当て外して
ナルトの額当ての上に重ねる様に結びつけた




「寄り道して行く。
お前の知らない
うちはが通う場所だ…」


再び
付き合うのを当然として歩き出す。



辿り着いた場に
キョロキョロとして
感嘆し
忍猫と戯れるお前……どうやら気難しい猫共にも猫婆にも気に入られたらしい。


巻物と丸薬と…
それに身を隠す為に羽織る服を買い
身につけ人気のない場の祠から外へ……


「また来いよ、坊や達…」

見送る猫共の言葉に頷き手を振るナルトが微笑えましい。




『もう
訪れる事はないかも知れない…』


笑顔の向こう側で
そんなナルトの声が聞こえた気がした…



任務をこなす為の

軌道を外し
宛てもなく彷徨う…


転々とした宿で
夜を共にし
身を結ぶ。
その度に分け合う体温と気持ちが心地好い。


何も必要ない…
この腕の中の温もり
さえあればいい



「…こんなに幸せでいいんかな?」


「馬鹿言え、これからだぜ。幸せを実感するのは……――」


二人のだけの世界を見つけに
未だ旅をしている…


もっと
木ノ葉から離れなければ……
追っ手の手の届かない場所に連れて行きたい。

地平線の続く限り
険しくとも道はあり
どこかへと続いている……

必ずあるだろう…
俺とお前を受け入れてくれる場所が……――





そろそろ…
本格的に木ノ葉の追っ手…



暗部の連中か


顔見知りか




いずれかは知らないが俺達を始末しに動き
出すだろう



あの女の命令で……




何しろナルト…
お前は特別な存在だからな。
あの小さな里にとっても、この殺伐とした世界にとっても……




素肌を触れ合わせ
温もりを抱いて
眠り就いた夜が明け
朝を過ぎ


宿を後に
道行くと予感は的中した……


気配を感じ警戒を張る


「…ナルト」


「…ああ、いよいよって感じだな。いっちょ暴れっか」



繋いだ手を離し
印を結ぶ



「千人のオレが相手するってばよ。人の恋路を邪魔する奴ァ……オレに蹴られて死んじまえってなぁ‥‥」




姿を現したのは
面を被った奴らではなく…―――


「お二人さん、見ーっけ!やっぱ忍犬より鼻利くみてーだぜ」



後者の方だった…



「アンタ、何言ってんの?
早く帰って来なさいよね、綱手様も心配してるんだから!」


「悪りーけど、サクラちゃんの言うコトは聞けそーにねぇや。
ごめん…」


「……確かに、また偏見を持って扱かわれるかも知れないけど……、私は、サスケ君とナルトの想いわかってあげたい。二人は私にとって、いつまでも仲間だから。」

「…‥ありがとう、……サクラちゃん。
でも、……もう…―――‥オレ達は選んでハジメちまったからさ‥戻る気はねーんだ。
木ノ葉に迷惑はかけねーから、オレとサスケのコトは放っといてくれって、綱手のばーちゃんに言っといて
くんねーかな‥」


「そんな簡単に片つけられたら、オレらに依頼しないって。
つまり二択
里に戻るか、それとも……ってワケ。
どっちにしろ、めんどくせーけどよ。」



管理の枠から
離れるのなら

…危険な分子は
早めに摘む…―――


後の影響は多大と想定して……


木ノ葉らしい
下らない考えだ…



隠しているが
他に幾つかのチャクラを感じる……



暗部とそれに……


恐らく切り札として…


あの男が潜んでる筈……




「……争うだけ無駄じゃんか…。オレはサクラちゃんやキバ…シカマルと戦いたかねェんだ。頼む、このまま見逃してくんねーか?」



ナルトの願いは
叶わない…



なら……




なるべく傷つけずに
終わらせる……





「話し合いは無駄だ……ナルト。」





瞬きの間
写輪眼に変えて辺りを窺いながら
俺は非情に徹するフリをした。



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あきゅろす。
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