明日への伝言※サスケ
…暖かい
ナルトから伝わる
生きている温度が心地良い。
互いに誤魔化してきた。
互いを守るために
抑制して来た…。
『悪鬼は操れない』
この眼は精神を操る事で有効となる。
精神など無い悪鬼と化した今のナルトには効く訳がない。
なのに、お前は…
瞳術に掛かった真似をする…
俺の背中へと
回した尾先を鋭くとするも迂回するかに矛先を変え、お前の尾同士を絡ませ鋭角なる切っ先を向け
千切り合わせて…‥
「何故だ…ナルト」
……俺は散々、お前を傷つけ裏切ったと言うのに…
ナルトの柔らかな金糸に頬を擦り問う。
「…サスケ…大好…き…」
背中の布地を握り締める掌。濡れる頬を黒髪に擦りつける。精神も宿らずな骸に宿ったのは魂の欠片を寸分残した“心”のみ。
ナルトの“心”は決して俺を傷つける事はなく、
唇で
行動で
示す一方だった。
ナルトの“心”は
最も親しい友を超えた“愛情”だと分かる。
誰よりも深くと俺を想い、自らを痛めつける事を止めない。
本当の悪鬼ならば、選ばずに糧とするのだろう筈。
「……ナルト‥」
若干の距離を離ち真っ正面にナルトの瞳に、 イタチやマダラとは違う紋様の一族示す瞳孔を映す。
もう
自らを傷つけるな…と命じて。
「‥サス‥ケェ…」
微笑する唇が俺の名を刻み、重なりたいと欲するかに寄せ付く。
浅い口付けが繰り返される。
上手く喋れない言葉の羅列みたいに唇を弾ませる…
ナルトの上弦を描く唇の端に流れる鮮やかな紅を拭い去る如く、俺は深くナルトの唇を塞いだ。
「……んん、…っ」
漏れるナルトの艶めかしい吐息に魅せられ、好きだと告げるように唇を擦り、舌を食い入れるかに捩り開け、ナルトの舌と縺れ合わせる。
「…ふ…っ…――んんッ…」
もがき震える唇の隅から息を漏らすナルトの頬が上気し、赤味付ける様子が瞼を閉ざしていても伝わってくる。
容赦なくと引き続き丹念に舌を絡ませて吸い尽くすようにナルトの舌を啜り、互いの唾液を混ぜ合わせているとナルトの触手さながらと動く千切れた尾先が束となって俺の背中に触れる。
だが衣服を破るまでに止まり、力失せたかにダラリと地に落ちた。
ナルトの次の行動が読める…。
状態化して翼を背から生やし、妖刀が突き出したナルトの背を包みナルトの背後を襲う先千切れても未だ鋭利な尾束を阻む。口付けを解かない侭…ーー。
「…!?…んっ…」
瞳を縦広げるナルトの背に回してた手を離し、腹に刺さっている刀を抜き去り地石に金属を弾かせた時、ナルトの唇が離れた。
「…サスケ…」
笑顔を繕うナルトの瞳が翳りを見せた。
「…大ーー‥好き」
次の瞬間
俺の重ねた両翼に大きな風穴が開いた…
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