届かぬ願い※サスケ
「!?」
背筋走る旋律に顔上げ、天を仰ぐ。
「…ナルト。」
届く訳のない声が聴こえ、思わず漏らした名前。
夕闇に変わる空より感じる異変は恐らく己のみと固唾を飲み、待ち望んではなかった現実と愈々向かい合わせにならなければ覚悟し立ち上がる。
何処で何が起こったかは肌で感じていた。通常では聴こえない声が脳裏に届く。
『期せねばならぬ時が襲来した。闇に落ち破壊神となったならば御主が操れたのだが…』
「そんなのはどうでもいい。…ナルトを助けたい。」
『ナルトが他者の手により九尾の魂の残骸なる悪鬼と化してしまった。救世主なる御主が出来る事は、ナルトを説得しあの祠ある洞窟から奴が出でる前に、山林ごと崩して祠を閉ざすしか無い。』
「きちんと答えろ。ナルトは救えるのか?」
『…御主の手で浄土に葬る事が唯一の餞となる…。ナルトの真意は人類と御主の僥倖のみなのだ…』
「もうお前に用はない。…失せろ。」
情景は浮かばずとも何となく把握が出来、届く耳障りな声の主を掻き消した。
己の立場にはある程度、理解してこその離脱が裏目に出るとは思いも因らずに疾走し一刻も早くと風を切り事を性急する。ただ言付けられたものを否定したく。
尋常ではスピードと誘われる感覚は天空に潜む九尾の力が携わってなのか。
失速どころか進めば進む程、凄まじく増してゆく…。
しかし、手前の半魂なら手前で何とかすればいいものを…
業だか何だかと胡散臭い真似などせずにな。
どうせ、これは虚構だろうが。
ナルトはそんな柔な奴じゃない。
間違いに決まっている…
あいつは容易に夢を諦める奴じゃないからな。
俺はナルトを信じている。
そして九尾の野郎は俺とナルトを窮地に陥れ、試しているに違いない。
まだ…
足りないが
俺が力を手に入れ
現在があるのは
…ナルト
お前が常に
同じ場所に立っていたからだ。
九尾に唾を吐き
信じられずとして目指していたが、洞窟から漏れる光の螺旋を目の当たりにして勝手に危惧したのか自然と双眸の色が変わり刀を鞘から抜き取っていた…
招かれた最悪を防ぐために宿され、
繋がれた運命は同じくだと言うのに
あのウスラトンカチめ、「…散り急ぎやがって。」
「…‥ーーサ…ス ケ?」
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