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陽はまた昇る※サスケ

「下らない器か……。なるほどな。…その意味、今の俺なら理解が出来る…」


『あ』から
始まる語句を示す扉を開かずに「下らん…」と全てを捨てたアイツを思い出した。


此処で生まれた…
というだけで括られる下らないマーク…

何故それだけで種別されなきゃならない?


忍になったら
命をかけてでも
任務を遂行し
里に貢献する…

その意味が
解読出来ない……


何のために
こんな里に縛られて来たんだか……
全くもって分からねぇ…





ナルトに向けられる眼と中傷の声が、許せない。



「…ナルト、俺もお前だけを守りたい。」






Never let you...





俺のナルトを傷つける、下らない輩ばかりが蔓延った、こんな世界は要らねぇ…


所詮、善義ぶっても綺麗ごとのように見せかけたいがための括りつけと決め付けだろうよ…


心や気持ちにまで制限し、自由を奪い、目敏い輩を邪魔者扱いし排除しようとするのは何の為だ?



一体、てめェらは何を守りたい?



俺が此処で
生まれた理由と
あの日に生かされた
理由だけは理解が出来た…




『うちはの家紋』を背負う者としてじゃなく、単なる『ひとりの人間』として





……ナルト

お前を護りたい…





叶うなら、命果てるまでお前の側にいたい。



そうするのに
場所は選ばない……


お前が笑っていられるなら、悪魔に身を委ねても構わない。
例え地獄にまで堕ちようとも……


お前が嫌う場所に、もはや居る必要はない。



『あ』の扉が開く。


明日になれば……




「ナルト、明日の任務は分かってるよな?」

「ああ、波の国に行くんだろ?」

「……荷物、多めに詰めておけ。」

「あ?…なんで?」

「誰にも邪魔されない場所で、俺と暮らすためだ。」

「………サスケ…。」

こんな小さな器の中で暮らしていくつもりは既になかった。


火影になるのが夢だといつも語っていた……お前。



「この里のじゃなく
俺だけの火影になれ。」

「…ああ、オレはお前だけの立派な火影になるってばよ!」


やはり
ナルト…
お前には笑顔が似合う。


悲しい顔は
もう見たくはない





俺は復讐者と名乗るのをやめると同時
うちはの家紋を捨てよう




お前だけの
『未来の側近』になるために……――




その『ハジマリ』を
この『あ』の扉字に誓いたく…

俺は
ナルトの腰を抱き
頬を撫で顎下へと指を滑らせ
口付けを施した




誰が見ようと
見まいと関係ねぇ…





何を言われてもいい



深く、深く…
刻んでやる




………お前の唇に




注いでやる
俺の想い……



「…んっ、…んん――ッ、……ふァ…っ…苦しッ……サス――…、ん」

離さない唇
舌の巡合りに
顔を歪め、指先を震わせるナルトは嫌がる事なく
口付けを続けるように唇の端から息を繋ぎ
舌を自ら絡めてきた



まるで、それは…
ナルト自らも結託を著して誓ってるかのようだった…




漸く唇を離してやる



全速で走ったって
途切れやしないのに
口付けで息を乱す。




不思議だ…





「支度したら俺の家に来い…、必ず……」







頷いたナルト…

思ってたよりも
早い時間に玄関の戸を叩く音がした




植木を持ってやってきたナルトを
招き入れる


「そんな物、持って来たって邪魔になるだけだぞ?」




「うっきー君は連れて行かねーってばよ。」
屈託なく笑い靴を脱ぐと階段を駈け登り
我が物顔で俺の部屋に入る。
同じようにしてカカシから貰った
同じ種類の植木の隣りにそいつを置く。

「コレはサスケの、
うっちー君のそばに置いとくために持ってきただけだから。」

「何だ、その名前?
勝手に人んちの植木に名前つけんな。
…ウスラトンカチ」


額を小突いた後
照れたようにたようにナルトは笑った。





それから…――




居間で寛ぐ時も
風呂に入る時も

眠りを共有するまで…

俺とナルトは
片時も離れる事なく
深く
何度も何度も
愛しあった…






この里で過ごす
最後の夜……




誰かを愛する事に
制限も隔たりもない…

そんな思いが彷彿し、まるでこの里の分からず屋共に見せつけるかに愛しさを連ね…
貪欲に互いの身に愛しさを刻み…‥

ナルトの深い場所に俺を残したまま眠り就き、朝を迎えても尚…




この時
俺達は16歳……



アカデミーを卒業し
『忍』となってから
四年目となる
月日が流れていた…‥




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あきゅろす。
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