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冥府








『必ずしも
“隙”が訪れる…』


『知恵や力が
成れば成る程…』



『…そう、如何ナる者ニも』


『尾獸なる
偶像を創り上げた
愚かな子孫達…』



『我ヲ悪と捉え創りし傲慢な民達よ…』

『扠、
何ノ様な道ヲ望ム…?』



『何ヲ信じる?』



『さあ…、
私を
愉しませてちょうだい…』






長い舌を反芻させる如く口からちらつかせた白い鱗なる八頭の朽縄(へび)がそれぞれと頭を擡げ笑っていた。

赤く実った果実を薦めた太古での思い出を懐かしみつ、また一つ人類に多大なる試練を与えてやったと陰府の森で高らかに笑っていた。



黒闇しかない獄地
深くに堕ちようと

苦悶を絶するもしないも

其の身が
醜く朽ちようと
美しく象られようと

実在するもしないも
信じるも信じまいも


別段
構う事無かれ。


『全テは
“人”
ノ想念ニ於ゐて創り給うた産物也…』



そう
声を揃え宣まいて
  愉快そうに…‥







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