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それぞれの道※ナルト



今まで信じてきたものが崩壊する。


火影になりたかった器が最も恐れたのは
『最愛なる者に酷く嫌われる事。』

そうして信念を貫き
努力だ
忍耐だ
として夢を実現したくと頑張ってきた。


例え
限界を過ぎたとて…




光が強き場があれば
闇もまた一層と濃く陰の色を増幅させる。


此の理は変わらず
消えずと付きまとう。

どんな
世が訪れようと…ー




小瓶を手にして漸く立ち上がる。
ふらふらと覚束無い足取りで宛てなく彷徨う。


如何すれば良いかすら理解不能と虚ろう。
ただ木ノ葉には帰れないと滝壷を下位置にする地点に佇み、金糸を風に靡かせて覇気を失せていた。

心に犇めくのは暗闇ばかりと仙術で防ぐも強めた封印が解ける感覚が広がる。


『これを飲めば楽になれる…』


カブトの声が頭の中に充満する。
掌に収まる小瓶の毒々しい色が何を示して居るのかは承知の上である。


「破壊を招く魔にだけはなりたくない。サスケには…サスケにだけは…‥会いたくないから…」

その呟きの裏側には己が亡くなれば次の器が誕生し、平和が築けるとの意があった。

否、意と云うよりは本能か、はたまた最後の意地なのか。

己の心が欲する最悪だけは避けたいと願い、己の後世は無くとも人世の安穏無事を願いて
柔らかに笑い
昼下がりの陽射しに煌めく小瓶を掌上で転がし、蓋を開ける。

「…父ちゃん、約束破っちまってごめん。オレにはもうーー‥無理、…‥なんだ。」


懐から愛する輩の遺物を取り出し、鉄板に刻まれたの印傷の真ん中へと唇を落として頬に縋り宛い、強く紺の布地を握り締め。
下弦に向く眼差しで息をコクリと一つ呑み下し、小瓶の縁に口付け喉仏を嚥下させた。

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あきゅろす。
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