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羽ばたけたら…※ナルト


「そう、怒るな…ナルト。相容れない奴など放っておけ…」


肩に伸ばした手がポンと跳ね、オレを抱き寄せる。その様子を見ては逃げるみてーに走り去った何人かの背中。オレはそれを見逃しはしなかった。


「オレのセイでサスケが――………ごめんな」

「気にするな、馬鹿。逆に堂々と出来ていいじゃねーか…」

納得出来ないけど
励ましてくれる声に否定は出来ない‥


「何か腹減んねーか?オレが奢っから、ラーメン食ってこーぜ!」

一楽の暖簾をくぐって椅子に座る。
ココに来たのは久しぶりだった。


「オッチャン!味噌ラーメンひとつ、チャーシュー大盛りでェ!!」

「…醤油、ひとつ」


以前と変わんない
オッチャンの頑固とした対応とラーメンの味にホッとする。久々に食った一楽のラーメンは天下一品でオレの機嫌もよくなって、いつの間にかニコニコと笑ってた。


「やっぱ、うンめーのな!!一楽のラーメンはさ!」


ラーメンの味もだけど、サスケと一緒だからヨケーに
すっげー、うめーって思った。
スープまで飲んで
お腹いっぱいンなって首にぶらさげたガマちゃんを開く。
アヤメのねーちゃんが出前に行っていないからか
立ち昇る湯気ん中で下拵えを一人続ける背中へ、わかるよーにチャリンとした小銭の音をわざとさせながらカウンターの上に返した手のヒラを置いた。


「ごっそーさん!
勘定はココにおいとくってばよ。」

サスケと横に並んで暖簾をくぐる。


そん時
アヤメのねーちゃんと擦れ違った。


たどたどしい
笑顔のねーちゃんと何も返答をくれないオッチャン。




店を出て数歩進んだ時、やっとオッチャンの声を耳にする。


「アヤメ、それ片しとけ」


「えッ!…コレ、あの子達が口にしたんでしょ?そういった類の人から感染する病気とかあるみたいだけど、…あの子たちは大丈夫なのかしら?」


「…それごと捨てちまえ。」


「そうね、口を着けた物となると心配だもん。うちは食べ物屋だから余計に神経使わなきゃ…」



簡単な作りの店内から聞こえた声を
オレたちは
聞き逃しはしなかった…


怒鳴り込むつもりで振り返って店を睨むオレの腕を力強く握るサスケの手にグイと引かれ視線を移す。


「……放っておけ。」


「…あんなコト言われて、黙ってられっかよ!」


「……もう、
行かなければいい」






ラーメンと
この里が
大キライになった瞬間だった。



















「……なあ、サスケ」


夕闇に変わる頃
オレ達は知らない間に
『あ』

『ん』
が並ぶデカい扉前に佇んでいた。


「何だ…」


「この扉向こう側に
オレたちを認めてくれる世界って、あるんかな?」


「あったらどうする?」


「……、行くっきゃねー‥」


「火影には‥ならないつもりか?」


キラワレモノのオレはオレが何のために生まれたのか、何のために存在すんのか…。
オレ自身、
それを知りたくて
みんなに
うずまきナルト
って奴がココにいるんだって知ってもらいたくて、イタズラしたり、わざと怒られるよーな事をしたりしてた。

注目される
サスケを見てて
すげー強ェ奴…って思った。
オレもサスケみてーに強くなりてェって…、サスケよか強くなったら
オレを無視する奴らを見返してやれる。オレを否定する
あの白い眼をした連中たちが、
すげー!って
……慕ってくれる



ただ
最初はそれだけのために一番強くなろーとしてた。



…でも

オレの存在を認めてくれた、たった一人の…優しい目をした大きな手に、そーじゃないんだってことを知らされて…



オレは…――


オレが生まれた、
この里を守りたい。
その思いから
火影になりたいと思った。


そんで
もし火影ンなれたら、オレみてーな思いをしてるガキに『オレがオメーを必要として守ってんだ。…だからオメーは、ひとりぼっちじゃあねーんだぞっ』とか言って笑いかけて頭をなでて慰めてやったり、『今までになく強ェ忍が火影だから木ノ葉に住む奴らには手ェだせねーや』って感じで門を開きっぱなしにして国を越えて知らしめ、みんなに安心してこの門の外の世界を歩いてもらいてェ。


『あ』から
いってらっしゃっいって伝えて
『ん』で
おかえりって迎えてやるんだ。

…………なんて

そんな夢を
心の奥で描いてた。

どんな眼で見られても、この里が好きだった。
みんなが好きだったから…

そう願い、
オレの目標と掲げてた。
―――‥けど、



現在は大キライだから、こんな里…守りたくもねー‥


「オレが守り、認められたいのは…
この世で、ただひとり……。
サスケ、お前だけを守って、
お前だけが好きって……一生、そうやってお前と一緒に生きてくのが、今のオレの最大の目標だってばよ!」



サスケだけの火影になりてェ…


そんなコトを思いながら
この里を捨て
オレは
サスケと二人だけの『ハジマリ』を求めていた。





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