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かごのなか※ナルト


『あ』

から始まる
この国のコトバは

『ん』

で終わる。



高い塀に守られた
この里の
両面に開く扉には
ハジマリと
オワリの
コトバが書いてある。

なんでか、なんてーのは知ンねーけど
ココから始まって
ココで終わるって
意味なんかな?





任務に出る以外
オレはこの扉をあけたコトはない。
この里に住む
みんなも、それは多分おんなじ…

コノ里で生まれた
オレもアイツも‥
ココから始まった。







Never let...







高い所までのぼる
と見える景色は
知ってるけど
目に映った場所が
どんなトコで
どんなヤツがいるか
なんて、知らない。



「なあ‥サスケ、
火影んなったらココを自由に行き交いできんかな?」


「さあ…、どうだろな」


こいつの兄貴は
こいつだけを残して『あ』と
『ん』を開かずに
別の場所に行っちまった。



この里を囲う
高い塀をのぼって
越えるなんてことは忍にとっちゃあ
朝飯前くれェに
簡単なことなんだけど、あえてしないのは…それが「裏切り」になっからか?


「木ノ葉じゃなくて…、火の国じゃなくて……たとえばアッチ――」


適当に空が大地に変わる青辺り
山の下の緑ン中が丁度かけた群に指を差してソコを眺める


「そっちの方に、もっと、ずーっとって続いてる名前もわかんねー国とか、だったら……―――」


里が一望出来る
高い樹の太い枝の上、樹の幹に背中を預けて座っている
サスケに
オレは背後を預けて座っていた。
そうしながら
遠くばっかを眺めてた。



「里を…――、出たいのか?」


肩に乗った顎先
問い掛ける声に
ちいさく首を振る


「……まさか。
そしたら火影に、なれねーじゃんか!」

バーカ、バーカと野次り笑う


「ただ‥、オレが火影んなったら、里のみんなが安心して扉の向こう側に行けるよーにしてェなって…そー思っただけだってば。」


そう‥告げたら
サスケは安心したよーな息を吐いた。

でも
なんだか
少し寂しそうに思えたのは
どーしてなんだろ?


‥オレとサスケは
お互いに
キライ
から始まって
友達って意味の『好き』になって
現在は恋人って意味の『好き』な関係なんだけど
オレたちはオトコ同士だから
周りは認めちゃあ
くれないだろうなって思う。



だから今日も
人の目が届かねー
葉っぱがいっぱい
ある樹の上で
こうしてる。



サスケは気にすんなって、トコロ構わずおカマいなしみてーにイチャイチャしようとしてくっけど
サスケが
キラワレモノになるのは、いやだ。





シカマルやキバとか
は、きっと

『キッショイ』
とか
『キメー』
とか
って言うだろーし




他にも名前あげたら
キリねーけど同期の
ヤロー共をハジメ…

サスケのコトが好きなサクラちゃんやいの、他にもサスケ、サスケって騒いでる女の子たちも、
ヒソヒソ…したり
排除するよーな
ヘンな眼でサスケを
見たり……


オレは
元からキラワレモノだから別に慣れっこだしイイんだけど‥
サスケが
そーいった扱いされんのは
ぜってー‥いや。

あと、それに‥
カカシ先生とか
イルカ先生
綱手のばーちゃんを筆頭にした
大人たちから

『オトコ同士で
愛し合うなんてのは
間違ってる』
ってな風に
サスケが
注意されんのも
……いやだ。

サスケはオレの憧れで、目標なのは
どんな立場になったって変わらねェ

だから

だから……

二人っきり
以外の時はサスケから離れてる。




離れたかねーけど

距離おかねーと‥




オレの心配が
予感になり
的中すんのに
そう――‥…
時間はかからなかった。

わざと
サスケを突き放してたクセに
オレ以外のヤツが
サスケに触れんのがいやで‥

任務終わった後とか
休みの日にまで
たまにカカシ先生と修行してるサスケ。

オレといる時間よか
カカシ先生といる時間のが、長く感じるのがイヤで…


つい…‥
ムキだしになっちまった感情から
オレ達の関係が
知れ渡っちまったんだ。






そんな日々を過ごして来た、ある日のこと…

オレのやり切れねェ感情が湧き上がっちまった。

サスケを野次るように
うるさく言う
大人たちの動く
唇が許せねェ…
手を繋いだだけで
白い眼で
サスケを見る
みんなの
あの眼が許せねェ‥ってな風に。


「おい、
何コソコソしてコッチ見てんだよ…」


てめーだよ、てめー‥
そう、…そこ
そこのお前。




「……お前に言ってんだってばよ!」




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あきゅろす。
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