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やきもち(絵logより)


オレはうちはサスケ、五才。

「サスケ、そろそろバスが来るわよ。」

「はーい。」

母さんに呼ばれて一緒に玄関先へ出ると、タイミングよくカエルバスがやって来た。

「お、…おはよう、サスケくん。」

「……。」

(なんだ、今日はヒナタ先生かよ。)
チッ…と舌打ちとすると母さんにジロッと睨まれる。

「サスケ、先生にご挨拶は?」

「………おはよう…ございます。」


オレはヒナタ先生が嫌いだ。
どうしてかって言うとヒナタ先生も狙ってるからだ。オレの未来のお嫁さんを。

「あ、お花。キレイだね。サスケくんちのお庭に咲いてたのかな?」

花をサッと隠すようにして、ヒナタ先生にはフンってして、黙ったまんまバスに乗った。

「こら!」と怒鳴る母さんをもシカトしてドカッと席に座っては、手にした花を見つめてた。

この花はナルト先生へのプレゼント。
一番に見せたかったのはナルト先生だったのに、


(早くバス着かねーかな?)


カエルバスは2回くらい、どうでもいいヤツらの家の前で止まって、信号で止まって、やっと木の葉幼稚園に着いた。

一番にバスを降りたオレはナルト先生へとまっしぐらに走ってった。

「ナルト先生ェ!」

「サスケ、おはよー!!」

ナルト先生のホッペにチューをする。
昨日もその前も幼稚園が休みでナルト先生に会えなかったから、チューはいつもよりいっぱいだ。


「オイ、そこの餓鬼……俺のナルトに何してやがる。」

なに!?って振り返ると、すっごく目付きが悪い男がオレを睨んでた。

「…誰?この人?」

ナルト先生の後ろに隠れてエプロンをぎゅっとする。

「大きくなったサスケ、だってばよ。」

「え?」

嘘だ!
オレはこんなにも目付きとか悪くないぞ!それにこんな風にスレちゃあいない。
眉毛だってオレのがオトコらしいしさ。
確かに髪型とかは、どことなく似てるけど……それはきっと髪型のセイで似ちゃっただけだい!

「……離れろ。餓鬼、ナルトは俺のだ。」

オレは、こんなに口悪くないし態度だって悪くない。
そんな口の聞き方したら父さんに怒られる。

本当にあいつがオレなの?
そもそもなんでオレが同じ世界に2人も存在する?


「ねェ、ナルト先生……」

「ん?何だ、どうした?」
「どうしてオレはココに居るのに、大人のオレがココに居るの?」

「あー…、何かさコイツってば時空を超えてコッチの時代にやって来たんだと。……で、帰れなくなっちまったとか。」

「時空を超えてって…もしかしたらタイムスリップってヤツ?」

「うん、そうみたい。」

「帰れないってのは空間の捻れが見つからないとか、そういう装置が何らかの弾みで壊れたとかを考えればいいのかな?」


「流石に俺だな、物分かりが早い。」

「サスケは賢いかんな!」

ヨシヨシとナルト先生が頭を撫でてくれた。へへ、嬉しい。
「ところで何でナルト先生を……」

訊ねようと思ってた事を途中で噤んだのは、大人のオレだったら当然だろうなって納得しちまったからだ。

けど、けど、何だか納得がいかない。
オレがアイツでアイツがオレだとしても腑に落ちやしない。
それはアイツも同じみたいだ。


「ナルト先生はオレんだ!絶対お前なんかに渡さない!」

「フン、餓鬼のクセに随分と威勢が良いじゃねーか。」

「うるせェ!アッチいけ!」

ナルト先生を守るように前に出て園庭の砂を掴み、バッと投げる。

「うっ、…やりやがったな、このガキ!」

「子供相手に大人げねーコトばっか言ってんじゃねー!、オラ、お前も早く任務行けってーのッ!!」

オレへと向かってきたアイツを阻止するかにナルト先生は身を屈めてオレぎゅっと抱きしめてくれた。そしてアイツを叱って、追い払った。

「チッ、…帰ったら覚えてろよ。」

「ざ〜ん念でしたァ〜、オレってばバカだから、家帰った頃にはなーんも覚えてねってばよ〜だ!」

アイツにアッカンベーをするナルト先生がカワイイ。そのベロをチュッとしたいくらいに…。

そう、ナルト先生はふてぶてしそうな大人のオレより、今のオレを選んでくれた。


やっぱり警備隊長の父さんが言った通り正義は勝つんだな。

「ナルト先生、はいコレ!朝、バス来る前に庭で摘んだんだ。」

「カワイイ花だな、先生にくれんのか?」

「うん!」

「サンキュー。早速、花瓶に生けてくるってばよ。」

ぎゅっとして頬スリスリしてナルト先生と手ェ繋いでひまわり組へ。

ニコニコしてるが、本当はオレを羨ましいと思ってるヒナタ先生を横目で見ては、ナルト先生の手をぎゅっと握りしめた。

ナルト先生と結婚するのはオレ。
あんなヤツには負けない。

でも、オレはアイツ。

帰ったらー…ってな下りをお遊戯の時間に思い出しちまって、すげームカムカして上手に出来なかったけど、将来もしオレがあんなキザで嫌みったらしい野郎になり下がったとしてもナルト先生と一緒に…ーーなんて思ったら、一人でニヤニヤしちまってた。
オレの将来に何があろうがナルト先生と一緒だってのが悔しいけど嬉しくて。


でも、努力はしねーとな。あんな大人にならないように。

立派な大人になってナルト先生を必ず。




あきゅろす。
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