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イタチとサスケ※生きてるって何だろう



マダラに信頼されたサスケはイタチの死体があると聞き、遺体置き場へ足を踏み入れる。


「…イタチ……」


兄の秘密を知り消えた憎しみは苦汁なる日々を送ったであろうとの慰めに似た感情と畏敬とを複雑に混ぜ、
決して安らかとは言えない兄の死に顔を見遣れば「何故、真実を明かさずに…」との懺悔とも取れる心境に見舞われていた。


「本当に死んじまったのかよ…」


哀しみと言うよりは未だ信じられず…━━
否、信じたくは無いと言った心情であった。

しかし事実を受け入れなければと己に言い聞かせ、自らの手でのみ
兄の遺体を葬り
その遺骨を拾い、
骨壺を胸に抱き
後に亡き父と母の墓へ埋葬しようと試み、柩を静かに閉め。


そして背負った小さなうちはの家紋の意味を表す術を施す為、素早く虎から始まる印を組み簡素な柩の中に横たわる兄、イタチの遺体へのやり切れぬ思いを馳せ、柩へと豪火を纏わせる………―――



「ぐ…!、熱ッ…熱い、熱いぞ!…何をする…」


炎を払いつつ焼け崩れた柩から飛出したイタチを信じられないと言った様子で眼睛を瞠せ……

「…生き…てた‥のか?」


「…そうだよ、サスケ。俺は生きてる‥ぞ…」

「……ああ‥生きてるな…」


良かったと思ったのは兄の真実を知った己の罪悪を逃れたとしたからか…、死亡したと知らされた兄が生存していた事にサスケは確かに嬉しいと感じていた。

イタチはサスケを余所に、甦っては格好が着かずと感じ、また誘った一億人の涙の果てを考えたならば裏切ったようで切ないと溜息を交え、焦げた暁の外套の糸裾がはらはらと千切れ舞うかに思い切り良く壁側へ凭れ、へたりと座り込んだ。


「生きてるから何だと言うのだ…。」


「…‥…‥――」


深い嘆息を吐く兄に対して歓びは失せ行き、うちはの悲願なる物を知ってしまった現在、
佇み鬱ぐ思いに駆られ……鈍く瞬き言葉を失っていた。


「また…嘘を吐き、鬼鮫とコンビを組み…
視力も失せたと言うのに、世界征服だとかな世界平和主義に反する組織の為に再び貢献するなどと、考えたならば……生きてる気がしないと言うものだ…。」


俯くサスケの脳裏に組織とはマダラと換算されナルトを操る権利は我のみとの考えが崩れ始めていたが、
冷静に判断すれば既に瞳力は失せ弱々しい此の男に九尾を操られる訳が無いと改め、
唯鬱ぐ一方の兄に対して己に何が出来るのかと巡らせていた。

そんな折にうなだれるイタチが溜息を吐き口開く。


「……何故、甦ったのかと言うよりも、先を思考した結果……生きてる意味が見つから無い……。」


「………。」

生か死か…──
常にどちらも背中合わせである忍にとって
そう思う事も無きにしに有らず…とサスケは口籠り、唯唯イタチに注目していた。


「…毎日、毎日…しんどいだけに過ぎん。恐らく清掃やらマダラの世話やらなどの‥雑用を任される。考えただけで生きてる気がしない……」


「…意味…あるぜ。俺を信じて任せたとするなら、意味がある。」

「……強くなったな、サスケ 」


「アンタを超えると言っただろ?」


「168cmか…。背は思ったより、まだ低いが……」

超えてないと主張する兄にイラつくサスケではあったが一息吐いて落ちつきを保つ。


「猫背だからだ…。背筋を伸ばせば幾らかは違う。…それに俺はまだ成長期なんだぜ。」

「……性長期、か。」


「…成長期だ。」


「…そんな世紀末はどうでも良い。今はともだち腐を広めるマダラを退治せねば……──」


「…天国か地獄、どちらかは知らんが…いずれかを垣間見て可笑しくなったか。」


兄の様子が妙なのは甦ったからなのか、と眉間を狭め瞬くサスケの思慮など全く以て知った由も無いイタチ。



「性に醜くしがみつき、生きて行く大蛇丸は中途半端だと思わないか…?」



「……オカマとニューハーフは違うぞ、イタチ」


「そうか…、バターのカロリー半分と謳うバターはマーガリンと言う事だな…サスケ。」


なるほどと一人頷くイタチを見ていると、様々な疑問が湧く。

あの侭、
イタチの真実を知り感嘆に満ち、既に裏切った里への仕打ちを誓いとした時間は一体……などと。



そんなサスケが
    ぽつと呟く



「…生きてるって、なんだ?」



あきゅろす。
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