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「もうすぐクリスマスなんだな!」

「…ああ。」

こうして過ぎてしまえば時の流れなんて早いものだ…。
外気に吐き出る白い息。澄んだ空気に瞬く星々を眺め、隣歩く者が零した辞にサスケはそう痛切に感じていた。

「今年も色々あったけど嬉しいコト、たくさんだったよな!」

ニッと歯を出して笑う顔、繋ぐ手は暖かく。不器用だけれど想い込めて贈ったものを未だ大切にしてくれてる伴侶に深く感謝し、ぎゅっ‥とナルトは手を握り直す。白く、己よりも冷たく長い指先を暖めるように。

「離せっ」

唐突に振り解かれた手はポケットへと収まり。ナルトは目を丸くし不可解だと言うかに首を傾げてそれを眺め、悴み行く手を脇に落とし眉を顰める。

「…何だ、テメー。人が優しくしてやりゃあ調子こきやがって。もう手なんか繋いでやんねーかんな!」

急変した態度に訳も解らずと憤慨し、先に行こうと駆け足を踏み飛び出せば、ぎゅいと首が絞まる始末に忘れていた事柄を思い出す。

「ぐおッ!!」

ゲホゲホと咳込んで、威勢虚しく佇み屈む羽目になろうとは予期せず。己の編んだ物を二人で分け合うかに首に巻き掛けさせたのが悪いと、事の起こりまで遡り不機嫌を極めていた。

「大丈夫かよ…?」

至近から声かけ背中を撫で擦る手を払い、キッと睨み、首に巻いていたマフラーの所為だと外し、彼へと投げ付ける。

「こんなもん、いらねーってばッ!」

長く編まれたマフラーの片縁が地に垂れないよう掴んだサスケは、走り出す頭を長い毛糸束で括り捕まえ。酷く熱(いき)り立ったナルトを己に寄せ付ける。

「勘違いしたにしろ、こんな物、扱いすんじゃねーよ…」

「何が勘違いなんだってんだ!!ああ?
それにコレはどー見たってこんなモンじゃねーか!」

語尾上がる口調は息を余計と白くさせて己の気持ちさえ否定つける。こんな思ってもない言葉を発するナルトに対して、先程の和やかな雰囲気を壊したのは己、とサスケは理解をした。
彼がそうした言動をつけたのは去年に贈られたマフラーとで互いに繋がってる、それだけで充分に暖められてると感じたのと、与えられて許りな気がした故、己に不甲斐なさを何となしに感じてと…

そして、もう一つ。


「お前の手を冷やしたくなかったんだ…」

そう、サスケはナルトよりも低くとした己の体温で、彼の暖かな手の熱を奪う事を恐れたのである。しかし、こんなに憤慨するとは思ってもみず…―――唇を噛み締め、不意に過ぎった考えから雑な対応をとった事を改める。


煤けたように曇った、そんな声色に振り返るナルトの瞳に切なげな黒き瞳を逸らし照れたようにはにかんだ表情が宿る。それに加えて寒さの所為も相俟ってか、朱線をつけた目許。
人前では冷静さを失わずと虚勢を張って素直さを隠す。そんな彼が装いを破って見せた顔は、己のみぞ知る、内心滲む一面の表れで。
それらを愛らしくと感じたナルトがクスリと肩先を上げて笑い。それから、金糸被る額をコツンと対面に直した額にぶつけそれぞれの色糸を織り交ぜた。

「バァーカ。」

煤払うかの明朗な声でそれだけ投げかけると、ポケットに入り込んだ手を取り出してサスケの両手を包み。変な優しさを理解してきゅっと握り込んだ。

「オレの手はそんなコトくれーじゃあ冷えねーてェの!」

一旦離されたサスケの手は微かに悴み、繋いでた時よりも温度は低く。さっきよりも更にナルトの手熱を暖かくと感じた。
そして、また、
手を繋ぎ歩き出す……―――


冬空示す特有の星座の近くから流れた星を見ずなまま、我家の灯を辿って。







■終■


あきゅろす。
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