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時の花



一日の出来事をベラベラと話し終えると時計をチラッと見る。


「サスケ、眠くねーんか?」


「少し眠いが……」


サスケの少しは
限界が近い証拠だ。



「……ナルト‥」


眠くなると必ず愚図ったように腕を伸ばしてオレを抱き締める。
そんなサスケの背中に両手を回す。


「明日も任務だし、もう寝た方がいいって。」

宥めるよーにして
ぽこぽこ叩いて寝室に促す。

「…もう少しだけ……頼む。」


「じゃあ‥、寝っ転がりながらにしよっか?」



独りんなるのを嫌がるみてーに繋いだ手を離さずのまま布団に潜る。


「…ナルト……」

ぎゅっと強く握りつけるサスケの手指。
多くなりゆっくりとする瞬き。

絡まる温もりを
もっと与えたいとサスケの頭を浮いた片手でオレの胸板へと引き寄せる。


「サスケ、目ェ瞑れって‥」


「…何で眠くなるんだろうな。」

「うー‥んと、わかんねーけど明日がくるためとかかな?」


「…明日なんか来なくていい。…本音を言うなら時間を止めて、お前とずっと‥──」


意識が眠りへと傾くコトを嫌がるサスケが
不安を掻き立てるみてーな事を吐いたのは
長く過酷な任務を予測してだ。

確かに二人っきりで居られる時間は短い。



黒髪の隙間に落とす[おやすみ]のキスで明日も会えると伝え‥‥

安堵を打つ一定のリズムをサスケの聴器へと促す‥…――



暖まる手の温度は
眠りに就く証拠。


穏やかに刻む呼吸を
伝える背中の浮き沈みは安息を知らせてくれる。


安らぎを与えられる
幸せ。

気を許してくれるヤツがいてくれる幸せに綻ぶ。


「…おやすみ、サスケ。」



返答は
腕の中で燻る吐息……

今日も
明日も明後日も
続くと思われる平穏な空間。



「時間が止まったら
こんな幸せ感じらんねーんだよ、バーカ。」


明日がくるから
昨日よりも大好きになれる。



そんな事を思い伝えたいと目を閉じる。


愛しい温もりを抱いたまま‥…──











その日
オレは不思議な夢を見た。


一緒に見に行くハズだった季節の樹の下で
舞い散る花弁が時を刻み落とす砂の代わりになって
オレ達を埋めて行く……


2cm.瀬名様提供


ひらひらと空を舞い
優しく香る淡花は
憂いよりも
来年もまた咲き綻ぶ歓びに踊っているみてーに思えた、そんな夢。




「オイ、起きろ‥」


「……まだ、眠い。あと五分‥」


満開は一瞬だけど
季節を巡り
ゆっくりゆっくり
綺麗な花を咲かせる準備をしてたんだな。


サスケもオレも
まだ花は咲かせちゃいない。

急かされる日々
流れる時間の中
ゆっくり
ゆっくりと
夢に向かって歩いていきたい。
サスケと一緒に
咲き誇るために‥…



「五分、経ったぞ。」

夢うつつン中で朧気にそんなコトを考えてたら現実を伝える声がして目を覚ます。


「……サスケ、キッチリしすぎだってばッ!」

布団を蹴りあげ起き上がり寝起き面で不機嫌そうにサスケを睨む。
『起こしてくれてありがとう』なのに、サスケにはフンって態度をとっちまうのは相変わらずで‥――。


呆れ顔で背を向けるアイツの後で大きくアクビをして着替える。



眠る前はカワイイのに朝んなるとカワイクないサスケ。



でも
『昨晩よりもサスケが好きだ。』


素直になれないオレは心ん中でそうサスケに呟き、組んだ腕に両手を伸ばす。


「今日も任務がんばろーな!」




サスケがいるから
夢がある。
がんばろーってなれる。
時間が経つのが楽しみになる。


サスケに逢えるから…

なんて、
ぜってー言うモンか!










あとがき!

オレとサスケが
砂時計を持ち『二人で時を刻もう』みてーな夢を見た、ねーちゃんからの夢ネタと絵と
サスケとのやり取りをミックスして書いたってばよ。

オレとサスケを夢に出演させてくれてサンキューッ!
また頼むぜ。(瀬名様ありがとう御座いましたv)


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