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飯は食うが満たされない。
生きる為には、人の肉か生き血か、それと同等な精液を摂取する事を要される。
今日もナルトは任務を休んで、陽当たらないうちはの地下室で安々と眠っている。

暖かな春の陽気や、風に舞い散る花の様子も知らずに……



「サスケ、ちょっと。」

任務を終えて急いで帰ろうとした時、カカシに呼び止められる。

「綱手様がお呼びだ。」

察しは容易につく。
恐らくナルトの事だろうと。
カカシと並び、同じ方向を目指して歩みゆく。

「随分と痩せコケちゃったけど、ちゃんと飯は食ってるのか?」
「…ああ。」

頬はすっかり痩け、身も細った。
誰の目にも、一目瞭然な血色のなさも把握している。その要因は俺であり、ナルトだ。

「育ち盛りなんだから、しっかり食べないとダメでしょ?…っていう問題じゃなさそうだな。」
「余計な世話だ。放っておけ。」

ぶっきらぼうに答えると呆れたかにカカシは溜息を零し、相変わらずとでも言いたげに一瞥した。

「あっそ。でもサスケ、お前はオレの師弟で仲間だから。師匠としても、第七班を監督する立場として、体調管理や実情を把握しとく権利ってもんが一応あってね。」
「てめーの管理ぐらい、てめーで出来るぜ?」
「ホント可愛くないよね、お前は…。ま、いいけど。そうだ、ナルトは元気か?」
「元気なら任務に出てくるだろが。」
「そりゃそうだが…、アイツの家に行っても藻抜けの殻でね。どうしたんだろうなァ、ナルトは。…気になるなァ〜。」
「………。」

ナルトと俺の関係をカカシは知っている。サクラもだ。
カカシは何かを勘ぐってチラチラと俺を見る。

「何か聞いてない?ナルトから…。」

サクラも毎日、心配そうな声をかけてくる。「ナルトはどうしたの?」と。
まあ当然なんだが。

「今は何とも言えない。だが…――」

後に嫌でも答えなきゃならねェ。
カカシと五代目火影、綱手の前で…
ナルトが何故、任務を休んでいるかを…。


もう
誤魔化しはきかない。

毎朝、毎晩、ナルトに精気を吸われりゃ幾ら体力があるうちはの血脈流れる身体でも限界は近いのは確かだ。

自分でもわかってる。
簡単に予測も、出来ている。
ナルトも疾うに気付き、日々遠慮深くとなるも、空腹が満たせず、俺と同様に痩せ細って青白い。
アイツも精気を失っている。
限界を感じてる。

だからか昨夜、俺との事を断ち切ろうとした。

誰とも付き合いはせず、誰彼構わず精液を求めればナルトも俺も、お互いが元気にいられる。

夢は諦めたくない。
何より俺を殺さなくて済むからと、そう悲しそうに笑い告げたアイツ…。
つまりは、恋人関係を清算しようと訴えてきた。
俺を生かし、ナルトは生きようとしてるだる。それを阻む権利などはないが。狭い了見だと我ながら思う。しかし、ナルトが他の輩のモノを口にして、欲求の液を貪る姿なんざ想像もしたくはない。

暗い部屋に閉じ込めておく事で俺は、安堵している。
離してやれない。
自業自得と与えているというより、自己満足で与えている。
理解はしている。
互いに良くない関係だと…。

でも今はこれでいい…

だが、これからは……


そうは弁えるも、解決の糸口にはならず。
現状は焦ってばかりだった。
未だイタチのような開眼には至らない眼。

完璧に写輪眼を開花させ、イタチの眼を奪う事が俺達のこれからを拓く事に繋がるのだろうか…。



こんな事を考えながら火影室に足を踏み入れ、正面を向き座る綱手を覇気失せた鉛玉のような虚ろな瞳孔に映していた。

何かに怯え、恐れるように……。





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あきゅろす。
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