残念な イケメン幹部が 現れた! ▼



「つ、強すぎる…」

「ふふん、誰に向かっていってるの!!」「調子にのんな阿呆」

胸を張って言うと、岩を使って上手いことジャンプしたサクが私の頭をはたいた。
酷い!いいじゃん今のところ圧勝してるんだから!!


少し進むと、目の前にピンク色のポケモンがいた。
私に気づいてやあん?と鳴いてぽけっとした顔をこっちに向けた。

「あれ……」
「おー、コイツもご丁寧にシッポちょん切られてるな」

そのポケモンの尻尾が、根本を残してなくなっていた。
まるでトカゲのシッポが切れたあとみたいになっていた。でかい分すごく生々しい。

シッポが切られている、ということは。

「この子がヤドン?」
「そうだ」

抱き上げようとすると意外に重かった。何キロあるんだよ!!
やあん?となおも気の抜けたような声で鳴くヤドン。
っていうか、シッポ切られたのに痛くないのかな。傷口もそのままだし。

「大丈夫?」「やあん?」
「そいつ、痛覚とかかなり鈍ってるらしいから痛みはないみたいだぞ」「へー」

岩陰の端に戻してあげると体を丸めて眠ってしまった。……ほんとに大丈夫そうだな。


「……痛くないならいいんじゃないの?」
「……ポケモン代表として今ここでお前の喉掻っ切ってやろうか?」「ゴメンナサーイ」

そういやこいつもポケモンだった。
足に体当たりしてくるサクに「ごめんってば」と謝りながら道なりに進んだ。



「あ、広くなった」
「お。………誰かいんぞ」


大きな岩からひょこりと顔を出すと、また黒い服をきた男の人が。
なんで皆あの服なの?そういう決まりなの?

それは置いといてさっさと終わらせようと岩から出ると、男の人が気づいた。


「なんですか?あなた」

……………やばい、超イケメン。
切れ長の瞳がちょっと怖そうだけどかっこいいな!モテそう。


しかし次の言葉で吹いた。

「私はロケット団で最も冷酷とよばれた男……

私たちの「ちょっふ、ふっははははははw」!?」


すごい笑い方してるな私。しかし笑いが止まらない。マジバロス。

「ちょ、おま、笑ってやんなよ…ぶふっ」
「だって、自称冷酷とかwわら、笑い止まらないw」

「ッ……!!なんなんですかあなた!本当に!!」

笑われたのが気に障ったらしく怒りながら言う男の人。
いやもうこれ笑うしかないでしょ、厨二すぎて無理だわ


「ふっはーいやー笑った笑った。こんなところで涙出るほど笑えるとか思ってなかったわー」

「いけ」「うわっはーい!?」

何その言葉。私も知らん!!
いきなり攻撃。ズバットオオオ!!恐いわ!

「初めに言いましたよね?私たちの仕事の邪魔がさせませんと」
「いや言ってませんよね?」「いえ言いました」

頑なに言ったことにする男の人。なんでだよ!!

「なんなんだこの同好会が…!」「いやだから同好会じゃね「上等だよォォオオ
ここまできたらやってやろうじゃねーかズバット行ってええええ!!!」「きゅーるる!!」

「(ああ、コイツ終わったな)」


*****



「くっ……まだこどもだと侮っていたらなんということ……」


勝ちました。もちろんですとも。嘘をついたあなたが悪い。
しかしほんとマジイケメンだなこの人…。こんなイケメンいたんだね!都市伝説と思ってた…
ヒビキはかわいいしね。確かに大人になったらイケメンになるかもしれないけどね!!幼馴染ばんざーい!!

悔しそうに顔を歪めていた男の人がいきなり苦し紛れに嘲笑を浮かべた。

「……ふふん、我らロケット団は三年前に解散しました
しかしこうして地下にもぐり活動を続けていたのです。
あなたごときがジャマをしても私たちの活動は止められやしないのですよ!」

「……すいません、何の話ですか?同好会でしょう?」
「はっ…!?」


そのままご丁寧に説明して下さること十分。


「こっこれから何が、起きるか……げほ、怯えながら待っていなさい!」

「はーい、ランス先生!」

すべて理解した私が元気よく手をあげる。
いやあそんな組織あるだなんて知らなかったなあ。さすが、ポケモン世界すごいね!!
ついでにこの人はランスさんといって、ロケット団の幹部なんだらしい。すごいねランスさん!


「はっ!こんなはずでは……」
「はっロケット団ざまあ」
「……………なんですかこの小生意気そうなコラッタは…」「んだと自称冷酷(笑)が」



「すごいね!ズバット!漫画みたい!!」「きゅー!」

きゃっきゃと活躍したばかりのズバットと一緒に笑った。
あれ、なんであの一匹と一人は睨み合ってるの?


「ちょっとあなた、このコラッタのトレーナーでしょう。躾がなってませんよ」
「はなせ!くっそ!死ね!」

「あーもう、暴言吐くんじゃないのサク」

ランスさんがサクの尻尾をつかみながらこちらに歩いてきた。
かがんで「めっ」とデコピンをした。痛かったらしく暴れるサク。

「いでああああああ」
「汚い言葉吐くからでしょ!」「お前も同じじゃねえか!」
「こんな乙女が汚い言葉使うわけないでしょ!!」「あるわ!思いっきり使ってるじゃねえか!」
「は、耳腐ってんじゃねえの!!このでかい耳は飾りみてえだなこのピンクネズミが!!」「それのこと言ってんだろうが気づけ!!」

「ちょっと」
「あ、はい?」「聞けよ!」

サクと話していると遮られたのでランスさんを見上げると怪訝そうな顔で

「……あなた、もしかしてポケモンの言葉が分かるのですか?」


…………………………………。
はっ!ヤバいぞ!!これはピーンチ!!

「え、いやそんなことは…」
「じゃあさっきまでの会話は何ですか?
ただの鳴き声に返しているにしては随分と…」
「ただの私の幻聴ですっ!」

指を突き付けながら顔を近づけてくるランスさん。
このイケメンが!顔近づけるな!

「は、よかったな性格の悪い、イケメンとやらに好かれて」
「え、ランスさんて性格悪いの!?」「!」

思わずサクの言葉を拾って聞いてしまう。しまった!
私の言葉を聞いてランスさんが翠の目を見張った。
私に顔を見せつけるようにしていた姿勢を戻して、手にぶらさげたままのピンクのポケモンを見下ろした。

「…………今、コイツが私のことを性格が悪いと言ったのですか」
「え、あ、……」

顔が怖いですよ、ランスさん。
思わず固まる。そうだって言いたいけど、言ったら私がサクの言葉を理解できるという意味にもなる。
どうするわた…「はっきりなさい!!」「そいつが言いました!」

怒られて反射的に答えた。怖いわこの人!上司にいたら私泣くわ!
そりゃあの井戸の前でいてたフレンドリーな人も苦労するよ!

「ほう、やはり言葉がわかるようで」
「ううう…なんだこのイジメ…」

もうだめ、私は折れた。
膝をついて打ちひしがれる私にズバットが控えめにきゅーとすり寄ってきた。思わず頬ずり!


「…あ、これ通例なら帰るとかそういうのじゃないんですか?
私正義の味方っぽいですし帰ってくださいよ悪の幹部さん」

ズバットの補給により私復活。ついでにズバットくったり。
それにより再度睨み合っていた一匹と一人がこちらを向いた。

「………あなた、正義の味方だったんですか?それにしては全くそれっぽい雰囲気が…」
「なんですか!?私が悪役っぽいって言うんですか?!
そんなこと言ったら入口岩で無理矢理塞いじゃいますよ!!皆苦しんで餓死ですよ!」
「それを悪役っぽいというのですよ」

とっさに思いついたことを言うと冷静に返された。


「ふ、ふふん!そ、そんなことするわけないじゃないですか!たまたま小説で読んだのを思い出しただけです!!」
「はあ、そうですか。
……まあそれなりに稼がしてもらいましたし、そろそろお暇しましょうか

それでは」

ぱっとサクの尻尾から手を離すと
いきなり何かを地面に投げつけた。

「っ!?」

黒い煙が舞い上がってげほげほ咳込んだ。何これしみる!!
洞窟の天井に素早く避難していたズバットがきゅー!と鳴く。


「あんの自称冷酷イケメンがああああああああああ!!!!げほあっ!」




その後、洞窟に入った前とは人相が変わった少女にガンテツさんが驚いたとかそうじゃないとか。


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ランスさん残念イケメン\^o^/
大分無駄な話ばっかした!楽しかった!




あきゅろす。
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