ロケット団が 現れた! ▼









「ハス、みずてっぽう!」

「わにゃあっ!」


ぱしゃんと水をかけられたイシツブテがぱったりと地面に伏せる。
よし、私の勝ち。



洞窟内にもトレーナーたちが多数いる。火吹きさんとか登山者までトレーナーらしい。ポケモンすげえ。


「さ、はやく出ちゃおっかハス」

*****


洞窟出てすぐのところにいたトレーナーも撃破してちゃっかりぼんぐりをゲットしてからさらに進んだ。
タウンマップを見ながらズバットと指先でじゃれる。


「もうそろそろ次の町っぽいんだけどな…
…それそれ」
「きゅー!きゅ、きゅきゅ!」

嬉しそうにぱたぱた飛んでいるズバットに笑いかけながら歩く。
右に曲がるところで、何か言い争ってるような声がきこえた

ちらりと隠れながら見ると黒い服の人が近くにいる人に何か言うとその人が逃げていった。
おうおうなんだ、喧嘩か!痴話喧嘩!?

「家政婦は見たっ!」「お前家政婦だったのか?」

真面目な顔で叫ぶとサクにツッコまれた。
…は気にせずに進んだ。普通に歩いていただけなのに少し近くに寄っただけで男の人が怪訝な顔をした


「なんだ、お前!俺たちのことを知らないのか!」
「え?知りませんよ?」

さらっと返すとなぜかびしっと固まった。あれ、本当のこと言っただけなのに。
数秒して持ち直したらしい彼はうっすら涙目のまま、私を指さした。

「俺たちは……

ロケット団様だ!」「ろけっとだん?
は、なんですか?ロケットの同好会かなんかですか?」
「はあ?!そんなわけないだろう!!」
「知りませんよ、高校か大学か知りませんけどさっさとおかえりください」
「だから違うって言ってるだろ!!」

ぎゃーぎゃーわめく彼に耳を塞いだ。ああもう、誰だよ顧問の先生。

「…………ああ、そういえばうちの高校の同好会、解散させられてたなあ…」
「!!!………………え?

解散したはずだって?」

どこか嬉しそうに聞き直す同好会の人。
何を言ってるんだこの人、あんたとは関係ないからぞんぶんに同好会楽しんどけ……

「ジョーダン言うな、解散なんかしていない!

いや、一度は解散したんだけどさあ…
サカキ様の野望を達成するために、また復活したんだよね……」
「あらー大変ですのねー」
「そうなんだよ、まったく幹部の人たちが…… ハッ!!

ってそんなことはどーでもいい!ツベコベいわずに消え失せろ!!」

どうでもいいって、あんたが言ったんだろ…。
ツッコみたい気持ちを抑えて、ぎゃんぎゃん吠える同好会の人を後目にさっさと立ち去った。


「今時の同好会の人って大変なんだね、
しかも野望とかマジ厨二「やめてやれよ……

………同好会だってきっと色々あるんだよ…。」「ふーん」

*****



「ガンテツさあああああん!!!」

「お前の犠牲は無駄にはしない…」

「勝手に殺すんじゃありませんサク!行くわよ!」


すでにヤドンの井戸に向かったらしいガンテツさんの後を追うべくサクを抱えて走り出す。

ポケセンでポケモンの回復すませてからボール職人だというガンテツさんの家に寄ってみると、
「ボールゥ?それどころじゃねーんだよ!」的なことを言われ、ロケット団があのヤドンの井戸という場所にいるヤドンたちの尻尾を売りさばいているのだと教えてくれた。
ヤドオオオン!!と思っていると使命感に燃えたガンテツさんが家を飛び出して行ってしまったのである。


で、ヤドンの井戸。


「あれ、さっきの学生の人いない!!よし行くぜ!」
「オイオイおこられてもしらねーぞ」

私の小脇にかかえられたまま抵抗もせず大人しいサク。
そのときはそのときだ!と井戸の中へ。もちろん階段でね?
降りてすぐのところでしりもちをついているガンテツさんがいた。


「おうヒジリ…
上で見張ってた奴は大声でしかりとばしたら逃げよったがな……」

「それより大丈夫ですか!」

「わし、井戸から落ちてしもて腰をうって動けんのじゃ…
くそう……元気ならわしのポケモンがちょちょいとこらしめたのに……

まあええ、ヒジリ!
わしのかわりにトレーナー魂をみせるのじゃ!」

「mjdk!!」
「なんて?」「マジでか!」

恐ろしいこと言い始めたガンテツさんに思わず叫ぶとサクが理解できなかったらしく意味を聞いてきたので教えてあげた。

その場に残って終わるのを待つらしい(っていうか動けない)ガンテツさん。
がんばれよーと送り出され、仕方なく穴の奥へ入った。


「くっそ同好会の奴らめめんどっくせえええええ!!!!」
「ってか同好会じゃないんじゃないか?どう考えても」

ひとまず面倒臭いという私怨が頭の大半を占めていてサクの声が聞こえなかった。
はやく2つ目のジムに行きたいんだよおおおお!!!

サクを落としてさっさと進んでいくと、男の人がいた。…さっきの井戸の前にいた学生か。


「ちくしょう…上で見張ってたのに、なんだあのじいさん……
いきなり大声出すからびびって井戸に落ちちまった…」

「意外とびびりなんですね」

「そうなんだよ…ゴーストタイプとかほんとは無理…うおおおお!!!!
「洞窟の中で大声出さないで下さい響きますうるさい」
「おおおおおま、びっくりさせるんじゃない!!心臓でるかと思っただろ!!」

胸の辺りをおさえながら隣にいた私から離れる学生さん。
おー本気で驚いてるな。なんかかわいいなー。
ヤバい、顔にやけると思っていると、学生さんの顔を真っ赤に染まった。あ、恥ずかしいのか。


「ええ、えーい!うさばらしにお前をいじめてやる!!」
「やだ何そのセリフかわいい」「う、うるさいッ!!!」

本心言っただけなのにさらに真っ赤になった。なんかうっすら涙目だし。
ずっと後ろにいたズバットが飛び出し、コラッタたちと戦闘。


結果。I'm a winner!!

「あーもう全然ダメダメだ…」

セリフがいちいちかわいいな。
ドンマイ、と肩を叩くとお前いい奴だな、と言われた。単純だなこの人。

「で、あなたたち早くここ出てくれませんか。マジ面倒なんで」「率直すぎるだろお前!」

サクのツッコミをスルーしつつ真顔で言うと「それは無理だな」と言われた。

「ええー全員倒してから帰れとかそういうの?穏便じゃないですね今の時代もっとコンパクトじゃないと。
見てくださいよポケモン図鑑とかすっごく薄いじゃないですか」
「おおすげえ!!って、そうじゃなくてだな

もっとヤドンのシッポを切り売りしなきゃいけないんだよ」

「ヤドンのシッポなんて売れるんですか?」

「意外に良い値で売れるんだ、これが。
なんでもシッポに甘味があるらしいぞ?」


「…じゅるり。」「ヤドン逃げろ超逃げろ」

やだなあ本気で食べるわけないじゃないサクったら。…多分。


フレンドリーな学生さんに手を振って別れ、階段を上ると
さっきの学生さんと似たような服を着た女の人がいた。

「何?あなた

まさか、シッポをとるのをやめろってでも言うつもり?
何よ!幹部の「いえ別に言いませんけど」え?」 

「さっさと私にやられてください」「え?えっ?…………キャアアアア!!!」


かーなり見下した感じに言われたことに腹立ったので瞬殺。
終わったときに泣かれた。まさか泣くと思ってなかったよごめん。


「そんなっ、お、おこら、なくっても…!!!」「ごめんなさいごめんなさい、あーもう泣かないで」


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ロケット団ってドジッ子でかわいい集団ですよね。え?違うの?




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