Material
復活×ボーカロイド
昔から、歌が好きだった。
勉強も運動も何も出来ないダメダメな俺だけど
歌だけは、ずっと好きだった。
誰も邪魔せず邪魔されず、
ただひたすら心行くまで歌っているのはとても気持ちいい。
歌うのは独唱曲ばかり。
本当は合唱曲にも興味はあったけど
昔は一緒に歌う友達がいなかったから
今は友達に歌が好きだと明かせていないから
挑戦することができなかった。
でも、一人で歌える曲なら何でも挑戦した。
有名な曲も、そうじゃない曲も
どれが一番とかはないけど
どれもそれぞれ個性があって、みんな好き。
そうやって歌で心を癒すのは、俺の俺だけの秘密
歌が好きって言うのが恥ずかしくて、言えないだけだけど
でもそんな日々が続く中、
ある日カラオケに行った俺は
とある緑の少女に出逢ったんだ
「キミ、いつも一人で歌ってるよね」
カラオケ画面に現れた、同い年くらいのツインテールの少女
「ねえねえ、私と一緒に歌わない?」
今では彼女は俺の秘密を共有する唯一の友達。
「ツナ!!朝だよ!!」
携帯から鳴り響くミクの声。
2ヶ月前にミクと出会ってから、ミクは何故かツナの携帯に住み着くようになった。
曰く「これからもツナと色んな曲歌いたいから」だそうだ。
ツナは自分と同じ様に歌うのが大好きなこの少女を無下に扱うことも出来ず、結局携帯の居候を許可した。
お陰様で毎朝起こしてくれるのは良いのだが……母親である奈々や、家に居ついている居候達にはツナはオタクだと勘違いされるようになってしまった。
「じゃ、お留守番よろしくねミク」
誰も回りに居ないのを確認して、ツナはミクに小声で話しかける。
中学に携帯を持っては行けないからいつもミクにはお留守番してもらっているのだ。
「今日は一緒にカラオケ行くんだよね?ね?」
待受画面にミクがアップに映っている。ツナが頷くと嬉しそうに画面の中で跳び跳ねた。
「楽しみにしてるからね!いってらっしゃい!」
そんなミクにいってきます、と返したツナは鞄を持って部屋を出た。
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