Material
鋼×銀魂 4
少年は鎧と顔を見合わせた。
「……まあよくわかんねえけど……直すか。」
「そうだね。」
二人はそう言って頷くと、辺りに散らばっている木材を集め始めた。
「ちゃんと元通り綺麗にしますんで安心してください」
アルフォンスの言葉に銀時が静まる。
新八はとりあえず危険人物ではなさそうだと警戒を解いて、二人の元へ駆け寄って手伝い始める。
「……よし、こんなもんか」
手に付いた木材の欠片を払いながらエドワードは立ち上がった。
「じゃあこの袋に集めた木材入れてください」
妙に慣れた様子で新八がゴミ袋を差し出す。
しかしアルフォンスはそれに首を振った。
「……?」
新八は首をかしげる。
その隣で腕を回しながらエドワードが笑った。
「これがねえと直せねえからな」
「……え?」
新八はエドワードの言葉にポカンとした。
「これを材料にするんですよ。」
そんな新八にアルフォンスが説明した。
「い……いやいやいや!!無理でしょ!!いや、無理でしょ!!え?だって普通の木材あっても簡単なことじゃないのに!?」
新八は盛大なツッコミを炸裂させた。そんな新八の様子にエドワードは苦笑いする。
「それが出来るんだよ。とりあえず、下がって見てなって」
そう言ってエドワードは両手を胸の前に出した。
アルフォンスは新八を安全な場所まで下がらせる。
パンッ
軽やかな音を響かせてエドワードは手を打ち合わせた。
そしてその掌で木材の破片達に触れる。
バチッ
静電気が弾けるような音が響く。
それと共に蒼白い電流が木材をかけ上がり、天井まで走った。
「え!?」
「うおぉ!?」
「何アルか!?」
それぞれが突然の光に驚き、腕で瞳を庇う。
……エドワードとアルフォンスを除いては。
「−−−−終わったぜ」
少年の声が部屋に響いた。
銀時が恐る恐る目を開ける。
「……は?」
銀時の目には、昨日までと変わらない天井が写っていた。
いや、むしろ昨日までより綺麗になっているかもしれない。
銀時以外の二人も驚いて目を丸くする。
「えええええ!?なんでえ!!?」
真っ先に新八がツッコミを入れた。
エドワードは得意気に唇の端を上げる。
「ま、こんなもんだよ。」
しかし銀時はそんなエドワードを睨んだ。
「幻覚で惑わそうったってそうはいかねえぞ!!お前ら手品師なんだろ!!?そうやって騙すのが得意なんだろ!!残念だったな!!こんな小手先の嘘じゃ銀さんはだまされません!!」
そんな銀時にエドワードは溜め息を吐いた。
「じゃあ触るなり何なりして確かめたら?」
そう言われて銀時は奥から台を持ってくる。
その上に乗ると恐る恐る天井−−−−エドワードとアルフォンスが壊した辺りを触れてみた。
「ほ……本物だ……!」
己の見た現象が現実だと突き付けられて愕然とする。
「お前ら……何物だ……?」
ひきつった顔で銀時が尋ねると、エドワードは答えた。
「俺達は錬金術師だ。」
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