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鋼×銀魂 3
「か……神楽ちゃん!!?」
新八は驚いて声を上げるが、神楽はお構い無しに鎧のすぐ側まで近寄る。
「アイツを今日から勇者と呼ぼう……」
「んなこと言ってる場合ですか!!神楽ちゃん!!知らない人は危ないんだから戻ってきて!!」
尚も叫んでいる銀時と新八を完全無視した神楽は、鎧の陰を覗き込んだ。
「コイツ起こせば良いアルか?」
突然近付いてきた神楽に驚いた鎧は一瞬答えに詰まりながら、かろうじて頷く。
「分かったアル。じゃあお前そこで待ってるヨロシ」
それだけ言うと、神楽は手を大きく振り上げた。
「人んちでグースカ寝てないで起きるネ、チビ!!」
そして上げた腕をそのまま思い切り振り落とした。
神楽の振り落とした腕は、何者かに阻まれた。
「…………オイ」
地の底から響くような、低い低い声が部屋に響き渡る。
神楽は自分の攻撃を阻んだ相手−−−今の今まで気絶していた少年を見やる。
「…………だぁれぇがぁ…………ウルトラスーパーミジンコドチビだってええええ!!?」
少年は雄叫びを上げたと思うと、神楽に殴りかかった。
神楽は一瞬驚いたような顔をしたが、少年の攻撃を軽やかにかわしていく。
しばらくは少年の攻撃をかわしていた神楽だったが、少年の拳が神楽の左肩を掠めたとき、それまでとは一変し目の色を変えた。
神楽が右腕に力を込める。
少年も同じく右腕に力を込めた。
二つの拳が勢いよく放たれようとしたその瞬間、二つの影が動いた。
「兄さんってば落ち着きなよ」
「これ以上我が家壊さんでくんねぇ?」
二つの影に止められ二人は、攻撃を止めた。
怒りの表情をしていた少年も、我に帰ったのかぼおっとしている。
「…………ってかここどこ?コイツら誰?」
鎧は呆れたような溜め息を吐く。
その心の中では、昔も似たようなことあったな……と過去を懐かしんだ。
そして現状が分からないながらも、回りを見渡して頭を整理し始める。
その結論を出すのには1分もかからなかった。
自分達がこうなる直前の事を思い出したのだ。
未だ頭がはっきりしないのか首をかしげる少年に、鎧はこう言った。
「兄さん。多分、ここ異世界だ。」
少年は鎧の言葉に口をあんぐりと開けた。
「……は?」
しかし少年−−−エドワードも、『異世界』というフレーズで、自分が気絶する前の記憶を呼び戻す。
異世界を表す
錬成陣の発動
自分の知るそれとは違う建築物や小物、服
アメストリスには滅多にいない、シン国民によく似た顔立ちの人々
それらの要因は、『異世界に来たこと』を納得させるには十分すぎた。
「……ウソだろ……?」
「あのさぁ……」
唐突に声をかけられた二人はそちらを振り向いた。
そこには神楽と少年の戦いを止めたことで冷静になった銀時が怪訝そうな表情で立っている。
「とりあえず……テメェら誰だ?テロか?テロなのか?」
突然のテロリスト扱いに、慌てた様子で鎧もといアルフォンスが否定する。
しかし、そのアルフォンスの反応に、銀時はこめかみに青筋を浮かべた。
「じゃあ、なんで……なんで人の家の屋根突き破って登場なさりやがったんだゴルァ!!?」
そう言って銀時が指差す先には、灰色に染まった空が覗く大きな穴が存在した。
「どうすんだコレ!?どうすんだコレ!!?うちには壊すとうるせえ宇宙戦艦がいんだぞ!!?」
万事屋のメンバーは怒り狂う宇宙戦艦……もといお登勢の姿を思い浮かべ、顔をしかめた。
お登勢はキレると容赦がない。
このままでは下手したら五分の四殺しは免れない。
錯乱状態で掴みかかろうとしている銀時を新八は必死で押さえていた。
「あー……これ俺達が落ちてなったのか……」
少年は天井の穴を見上げて
現状理解の追い付かない頭を掻く。
不可抗力だったとしてもなっちまったことは仕方ない。
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