Material 鋼×銀魂 2 まだ日の出を迎えてもいない朝早く。 万事屋銀ちゃんの主人は珍しく起きていた。 理由は……テレビ 「うぉぉぉぉ!!結野アナぁぁぁぁ!!」 しかも、ただの天気予報。 「いわゆる一つの残念な大人アルな」 巻き込まれ早く起こされた神楽が、眠そうな目を擦りながら呟くが、銀時には届いていない。 「神楽ちゃん寝ても大丈夫だよ?」 たまたま万事屋に泊まっていた新八が神楽に毛布を渡す。 「大丈夫アル。バカな男に付き合うのも女の役目ネ」 それちょっと違うと思うけど……とすかさず新八がツッコミを入れた。 そんな会話をしている間にもテレビの画面は変わっていく。 『以上、代理の結野がお送りしました。それじゃあ良い一日を〜』 「結野アナあぁぁああ!!」 天気予報のコーナーが終了する。たった五分のコーナーだから仕方ない。 「銀さんご近所迷惑です。お登勢さんに追い出されますよ。」 絶叫している銀時にはその言葉も届かない。 「大体5時半の天気予報見るのなんてサラリーマンくらいアルよ。日々ストレス社会で生き急いでる連中のためのコーナーが短いのは当たり前ネ」 「神楽ちゃん、生き急いではないよ。失礼だよ、それ。」 なんやかんや言っていると、やっとこさ銀時が現実に戻ってきた。 「ってことで俺の任務は果たされた。寝る。」 戻ってくると同時にダメ人間を炸裂させていた。 「せっかく早起きしたんですからそのまま起きてくださいよ」 新八はそう言い、音漏れ対策に閉めていた窓を開ける。 「あっ、丁度日の出ですよ。綺麗ですね〜」 澄んだ空気が万事屋の中に入り込む。 新八は気持ち良さそうに深呼吸をした。 「お天道さんなんて毎日登っちゃ沈み登っちゃ沈みしてんだからわざわざ見なくても良いだろ」 夢もロマンも無い台詞に新八は呆れた様な諦めた様な顔をした。 「銀さんには毎日が来る当たり前の有り難さを知って欲しいですね」 「毎週月曜日が来る有り難さなら知ってっけどな」 そう言って銀時は和室へ続く襖を開いた。 そのまま入ろうと一歩踏み出した時 ドゴォッ!! 天上を突き破って何かが銀時の目の前に落ちてきた。 「っ……!?」 銀時が固まる。 何故なら、銀時が今まさに寝ようとした布団に、大きな鎧が落ちてきたからだ。 だいぶ予想外な展開に新八も硬直する。 ただ一人、神楽だけは平然と「デッカイ鎧が天井突き破って空から落ちてきたネ」とか言っている。 「良かったナ、銀ちゃん。もし結野アナが代打出演してなかったら今頃鎧の下敷きネ。悪運強いアル。」 そう言って神楽は銀時を見上げると、銀時は瞬時に我に帰った。 「なんじゃこりゃあああ!!贈り物か!?空からの贈り物来ちゃったのか!?季節外れのサンタクロースやって来ちゃったのか!!?え、いらないどうしよう!!?」 テンパりにテンパった銀時は何故かタイムマシンを探し出す。それに新八は「現実を見据えろおお!!」とツッコミを入れた。 「うぅっ……」 呻き声と共に鎧が動いた。銀時と新八はハッとして身構える。鎧は頭を押さえながら起き上がった。 「……ここ…は……?」 「鎧が呻き声上げたあああああ!!」 途端に銀時が叫び声を上げる。 「違います!中の人が呻き声上げたんですよ!!ってか落ち着けぇ!!」 そう言う自分が落ち着け。 そう言われても仕方ない声量で新八は叫ぶ。 下の階から「朝っぱらから五月蝿いよ!!」とお登勢の声がした。 「……!兄さん!!」 鎧は突然その場に立ち上がると、自分の下敷きとなっていた何かを揺すぶった。 角度的に何をしているか把握できない銀時と新八は戦々恐々とそれを見つめる。 「兄さん!!兄さんってば!!」 「仁井さん……?仁井さんって誰ですか?」 銀時はもう半分涙目だ。 そこに、勇猛果敢な神楽が和室へ入っていく。 [*前へ][次へ#] [戻る] |