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復活×貧乏神が!3
目を覚ますと、見知らぬ部屋にいた。
「……ここ……どこ……?」
ツナは寝起きの頭を抱えながら起き上がり、ぼんやりと辺りを見回す。
お世辞にも綺麗とは言えないその部屋は、所々に散りばめられた小物等の愛らしさから女性の部屋だと分かる。
段々と頭がはっきりしてきたツナは顔を青くさせた。
(え……俺、なんで女の人の部屋に……?)
見知らぬ部屋―――それも女性の部屋にいるという不自然極まりない状況に、ツナは戸惑いを隠せない。
ツナは原因を探るべく頭を働かせた。
(……えっと……確か放課後にリンチに遭って……やっと解放されてから学校を出て……その時急に後ろから話し掛けられて……それで……)
ツナが気を失う直前の事を思い出すのと同時に、部屋の扉がゆっくり開いた。
その音にツナは大きく身体を跳ねさせ、扉に向かって身構える。
「あ……起きてる……?」
扉の後ろから現れたのは、『美少女』という言葉のよく似合う銀髪の少女だった。
市子は部屋に入ると、紅葉が置いていった少年―――ツナの元まで近付いた。
「えっと、初めまして?」
怯えたように肩を震わせるツナに、市子は困惑気味に話し掛ける。
ツナも現状がよくわからず、困惑気味な表情を市子に返した。
「えっと、その……あ〜……あなたのお名前は?」
この状況でその質問はどうよ?
市子は自分にツッコミを入れつつも、気まずさを紛らせるために会話を試みる。
「……沢田綱吉……です」
ツナは市子を警戒するように見ながらも小声で市子の質問に答えた。
「つ、綱吉君ね!私は桜市子っていうの。えっと……よろしくね?」
その言葉にツナは何も返さず、そこでブツリと会話が途切れしまった。
二人の間を嫌な空気が流れる。
(ああああ!なんかめっちゃ警戒されてるし!!気まずいし!!あんの貧乏神があああ!!どうしてくれんのよ、この空気!!)
元々社交能力皆無の市子であるため、こういうときどうすれば良いのか検討もつかない。
それ以前に何故ツナが自分を警戒しているのかにさえ気付けていなかった。
現状打開の策が浮かばず、市子が唸りながら頭を抱え始めていると、ツナが唐突に口を開いた。
「……どうして俺……ここにいるんですか?」
市子はツナの言葉にハッとする。
「そうだよ!綱吉君ここにいる理由知らないじゃん!」
突然目覚めたら知らない場所とか警戒されて当然じゃん!!
やっと自分が警戒されている理由を理解した市子は両手を合わせた。
「ごめん綱吉君、今説明するから!」
そう言ってツナの方に向き合った市子は、再びピシリと固まった。
何故なら市子自身現状がよくわかっていなかったからだ。当然わからないことを説明できるはずがない。
かと言って貧乏神とかいう非科学的存在を説明に交えるわけにもいかず。
全て紅葉が悪い!!と言いたいのを飲み込んで、市子は言葉を探した。
「えっとね、私の知り合いに貧保田紅葉って奴がいて……そいつが綱吉君を助けるため?に私の家までさらってきて……そのまま綱吉君放置して勝手にどっか行きやがった……って感じ……?」
貧乏神の事を避けて話すとどうしても言葉が曖昧となってしまう。それが分かった市子は手のひらを床につけて軽くうなだれた。
「あ〜ごめん……実は私もよく分かってないんだ……詳しく知りたかったらアイツに聞いた方が良いと思う……」
自分では説明しきれない事がわかった市子は正直にツナにそう言った。
その心の中は紅葉に対する罵詈雑言で埋め尽くされている。
「まあよくわかんないけど……あの様子だと多分綱吉君にとって味方だと思うから……安心して良いと思うけど……」
そこまで言って、市子は自分をまっすぐに見てくるツナに気付いた。
突然どうしたのかと市子は目を白黒させる。
「あなたは?」
ツナは市子に問いかけた。
「あなたは味方ですか?」
市子は思ってもみなかった質問に多少驚きつつ口を開いた。
「現状じゃあ味方かは分からないけど……そっちが敵対しない限り敵にはならないよ」
というか敵対する理由ないし……
そう言うとツナは少し安心したような表情を浮かべた。
「あ……じゃあ『ボンゴレ』って知ってますか?」
思い出したように問うツナに市子は「なんで今アサリ貝?」と首をかしげて返した。
そんな市子の様子に少し安心したようにツナは息を吐く。
市子は首をかしげながらまあいっか、と流した。
「……で、私はどうすれば良いんだ?」
市子は見えなさすぎる先行きにかなり不安を感じていた。
再び二人が微妙な空気に包まれる中、唐突に市子の部屋の扉が開いた。
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