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復活×貧乏神が!2


「…………で?」

とある高級マンションの一部屋。

そこに家主である桜市子と、家主にとりついている貧乏神紅葉が向い合わせで座っていた。


「この子は何よ」


市子の指差す先には市子のベッドに寝かされたハニーブラウンの髪を持つ一人の少年、沢田綱吉。

「だぁかぁらぁ、先程も説明したじゃありませんか。私の新しい仕事先ですよ。あ、ご心配なく。市子の方も引き続き私がやるよう言われてますので」

やれやれ、と紅葉は溜め息を吐かんばかりに肩をすくめる。

「いっそのことそのまま離れてくれよ……じゃなくて!どうしてアンタの新しい仕事先がウチにいらっしゃっちゃってんのよ!?」

青筋を浮かべながら叫ぶ市子に紅葉は耳の穴をほじりながら「え〜」と言う。

「まあぶっちゃけて言いますとですね……その子、帰る場所がないんですよ」

市子が紅葉の言葉に口を開けたまま固まる。

紅葉は固まっている市子にお構い無しで話を進める。

「まあ家そのものはあるんですが……彼以外の住人が彼に敵意を向けていまして……このまま休める場所がないというのは精神崩壊の危険性があるためこうして連れ出し……」

しかし紅葉の言葉は最後まで言い切る前に遮られる。

「待った待った待った!ちょっと待ってよ。まずそれどういう状況?」

紅葉は市子のその疑問には目を細める。

「それはその子に直接お聞きなさい……と言いたいところですが、まあ良いでしょう。
概要だけ申しますとね、その子、とある女に嵌められまして−−−仲間にも家族にも裏切られてしまったのですよ」


それを聞いた市子が目を見開く。


「まあそれだけなら私達『神』が動くことではないんですがね。ただ今回のことは普通じゃ起こり得ないことまで起きてしまっているんですよ」

「普通じゃ起こり得ないこと?」

市子が紅葉の言葉を繰り返す。

紅葉はそれに頷くと話を続けた。

「何故か沢田綱吉くんの周りに不幸エナジーが集められてるんですよね〜」

それを聞いた市子は首をかしげた。

「それって私……みたいな?」

紅葉は首を振る。

「貴女の場合は『幸福エナジーを引き寄せる』という体質です。この少年はそんな体質は持ってはいません。つまり誰かによって『意図的』に集められてるんですよ。ですがそんなこと、神さんの道具無しで出来ることじゃありません」

そしてもう一つ、と紅葉は人差し指を立てる。

「対照的に、幸福エナジーが集められている少女がいます。ここまで言えば乳に栄養の回った牛並みの貴女でもわかりますよね?」

市子は紅葉の頭に蘇民来将を叩き込みながら口を開いた。

「―――そいつが、この子を嵌めた女……」

ご名答〜とおちゃらけながら頭から血を流した紅葉が起き上がる。


「あちらさんの目的は全く一切分かっていません。ですがこの子が孤立し傷付く事が目的達成に繋がるようですんで……もうめんどくせーし首の付け根に一発落としてさらっちゃった」

「軽っ!!」

エヘッと紅葉は可愛らしく笑うが、対する市子は「何やっちゃってんのよ!?」と大声で叫ぶ。

「もう、市子ったら。起きちゃいますよ?」

「誰のせいだと思ってんだ!?」

盛大にツッコミを入れた市子はそのまま脱力した。

「なんか……今のでどっと疲れた……」

シリアスだったりふざけてたりの紅葉に疲労感と脱力感を感じながら項垂れる。

「……で?この子どうすんのよ?」

少しの間項垂れていた市子は、一番大事なことを思い出して顔を上げた。
あんた確かホームレスでしょ?

しかしそう言いかけて、市子はその言葉を思わず飲み込んだ。

先程まで己の前に座っていた紅葉がいない。

「……!」

慌てて立ち上がり、素早く回りを見渡すと机の上に見慣れぬ封筒があることに気づく。

嫌な予感をビンビンに感じながらその封筒を開くと中から一枚の紙切れが出てきた。

そして紙切れにはただ一言『世話は任せた』というある意味予想通りの文字。

市子は美少女と賞される顔に青筋を何本も浮かべ、地に這うような声を出した。


「あんの貧乏神が〜!」


かくして大空と貧乏神の喜劇は幕を開いた。


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あきゅろす。
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