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魔法×海賊 7
マルコに言われてサッチは倉庫から出ていった。倉庫のすぐ前で足音が止まった。かすかに話し声がするので二人はそこで話をしているらしいが、あいにくこちらまで会話は聞こえてこない。
こういうときこそ伸び耳が欲しかったが、あいにく私のポケットにそんな便利なものは入っていなかった。
しばらく待っていると話が終わったのか再び扉が開いて二人が入ってくる。そしてマルコはこちらへまっすぐ歩いてくると、目の前で止まって私を見下ろした。
「……」
なんとなく目をそらしたら負けな気がして、私は視線をそらさずに見つめ返す。
少しの間そうしたと思ったら、マルコは唐突に口を開いた。
「異世界の人間なんだってな」
改めて問われたそれに、私は「ええ、多分」と曖昧に頷く。異世界に飛ぶなんて前例聞いたこともないし、可能性としては一番高いと思いつつ、私も確信を持っているわけではないのだ。
「……お前の荷物を調べさせてもらったよい」
私の曖昧な回答には言及せず、淡々とマルコは話し始める。
「ここは何でもありのグランドラインだ。バッグが常識はずれなのは、まああり得ないことはないよい。だが……蔵書の中から何冊か専門書や論文に目を通したが、中身があまりにもこの世界の常識からかけ離れすぎていた―――グランドラインであることを差し引いてもだ」
星の位置や読み取り方まで違っているのはさすがに異常だ、とマルコは続けた。
私は『何でもありのグランドライン』というのはどういうことなのだろうと内心首をかしげる。しかし再び口を開いたマルコに、慌てて意識をそちらへ向けた。
「だから、お前が異世界人だってのは一応認めてやるよい」
短い時間の中で勝手に、この男は頭が固そうだと―――それこそ私のようなタイプだろうと思っていたマルコが、簡単に異世界を認めるとは思っても見なかった。
思わず驚きに目を見開いて彼の顔を見つめてしまう。
そんな私を気にせず、マルコは「ところで」と言葉を続けた。
「お前の本には、どれにも『魔法』って言葉が繰り返し出てきたよい」
マルコの言葉に、瞬時に背中に嫌な汗が伝った。私の蔵書を読んだと言うなら、もう誤魔化しようがない。
「今度こそ正直に答えろ―――お前は『魔女』なのか?」
言葉は疑問系だったが、マルコの目には確信の色が強く現れていた。もう言い逃れは出来ないと悟り、私は
その問いに頷くしかなかった。
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