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魔法×海賊 トリップ

ハリーがヴォルデモートを倒し、全ての戦いが終わった。

沢山の大切な人たちが死んでしまったし、全てが全て、ハッピーエンドにはならなかったけれど、それでも魔法界に―――いいえ、この世界に―――平和が訪れた。

なんだか長かったとも思うし、あっという間だったとも思う。

でもやっと何の脅威にも曝されることなく、幸せな日々を遅れるのだと信じていた。




戦いが終わった後、ホグワーツはしばらく休校となっていた。中がボロボロだということもあったし、先生方も多くが傷を追っていた。とてもじゃないが、授業を行える状況ではなかった。

ここ一年はホグワーツは死喰い人の監視のもと、時に非道な魔法教育をなされていたが、それにも負けぬ先生方の奮闘と授業により、授業に参加できていた生徒達の履修状況はあまり問題はなかった。

問題は授業に出るどころかホグワーツに来ることも叶わなかったマグル出身の生徒達や、ネビルの様に必要の部屋に身を隠していた生徒達で、そういった生徒は、無償で留年してもう一度学年をやり直したり、夏休みに補習授業を受けることになった。

多くのマグル出身の生徒が留年を選んだが、補習授業も留年も強制ではないため、七年生の中にはそのまま卒業して就職すると言う者もいて―――私の恋人のロンもまた、その一人だった。

ロンはあの戦いの中、亡くなってしまったフレッドの代わりに『ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ』を経営するらしい。相棒を失って気落ちしているジョージを励ましたいのだと言っていた。

私とハリーは魔法省に勤めようと思っていたから、そのためにもイモリテストに合格する必要があって、9月からもう一年ホグワーツに通うことにした。


プラットホームに列車が入ってくる音がする。ドアが開くと共に列車から沢山の人が出て、沢山の人が入っていく。イギリスのロンドンの駅は、沢山の人で賑わっている。

そんな中それぞれトランクの乗せられた大きなカートを押すハリーとジニー、小さなビーズバッグを持った私、そして見送りに来てくれたロンとモリーおばさんが同じ方向へ歩いていた。

「その魔法はホントに便利だね」

ハリーが私のバッグを指差して言う。それは言わずもがな検知不可能拡大呪文をかけたバッグだ。

「お陰で今回は電車で変な目で見られずに済んだよ」

今回はアーサーおじさんが車を出せなかったのでマグルの電車でここまで来た。その際に変な注目を浴びないようハリーの大鍋やファイアボルト、マグル的に『変なもの』をビーズバッグに入れておいてあげたのだ。代わりにハリーにはクルックシャンクスの入ったゲージをカートに一緒に乗せてもらっている。

もちろんジニーにも荷物を預かろうかと尋ねたのだが、ジニーは「パーシーが目隠し呪文をかけてくれたから大丈夫よ」と笑って断られた。

「僕もこれ持ってたらこんな重いトランクなんていらないのに」

ハリーの呟きにクスリと笑みをこぼす。

「あら、良いわね。ウィーズリー・ウィザード・ウィーズで売ったら売れるんじゃない?」

「君が苦労してかけた呪文をボクやジョージがかけられるって……ハーマイオニー、気は確かか?」

そんな軽口に四人で笑い合う。そんな中、モリーおばさんがどこか申し訳なさそうに口を開いた。

「二人とも9月の始業まで居てくれて構わなかったのよ?」

眉を下げてそう言うモリーおばさんに、私とハリーは笑いながら首を振った。

「ありがとう、おばさん」

「嬉しいけど……私達は大丈夫よ」

帰る家のない私達はウィーズリー家にお世話になっていた。

けれど、6月の補習授業の開始と共にマグゴナガル先生が寮を開けてくれたため、私達は一足早く寮に戻ることにしたのだ。

少し前までヴォルデモートに乗っ取られていた魔法省は、今その不手際の後始末や新しい魔法大臣の選出、他にも生き残った死喰い人の裁判等に追われていた。当然、アーサーおじさんもパーシーも忙しく、毎日ヘロヘロになって帰ってくる。ロンと、ロンに掻き立てられたジョージも夏休みに向けたお店の再開のため家とダイアゴン横丁を往復したりと忙しそうにしている。

二人ともそんなウィーズリー家の邪魔になりたくはなくて、補習授業へ向かうジニーと共に寮に入ることに決めたのだ。

「それに、私なるべく早く図書館に行きたいの。パパとママを探す方法を夏休みが終わるまでに見付けたいのよ」

戦争に巻き込まないため必要だったとはいえ、辛い決断だった。

もうその戦争も終わったのだから、一刻も早く愛する家族を見付け、自分を思い出して欲しい。

抱き締めて欲しい。

もしかしたら勝手なことをしたことや、危険をたくさん犯したことを怒られてしまうかもしれない。

でもそれすらも愛しい。

早く、早くパパとママに会いたい。

「僕も手伝うよ」

「こっちも色々方法を探してみるから」

そう言ってくれる頼もしい二人に、笑って「ありがとう」と返した。


慣れた手際で9と4分の3番線の入り口である柱を通る。すでにそこには紅の汽車―――ホグワーツ特急が停まっていて、一年近く見ていなかったその汽車に懐かしさが込み上げた。

汽車の中には補習授業へ向かう生徒や私達のように家を失った生徒が何人かまばらに座っているのが見えた。

「やっぱり補習授業なんて受ける物好きは少ないみたいだね」

そう言ってロンは肩をすくめる。でもロンがそう言っても仕方ないほどに人が少なかった。

「あ、ルーナがいるわ!」

そんな中からジニーが目ざとくルーナを見付け、カートを押して走り出す。ジニーが向かう方へ目を向けると、汽車の窓から手を振るルーナの姿が見えた。

「そう言えばあの二人、今年は君達と同じ学年になるんだよな」

なんだかしみじみとそう言うロンに、ハリーは「ああ、そう言えばそうなるんだね」と笑った。

そんなみんなを見ていて、まだまだ慌ただしさは拭えきれないけれど、平和が訪れたのだという実感がわいてくる。またあの汽車に乗って、学校へ行くのだと思うと、感慨深さに涙まで出そうだ。

発車時刻が近付き、汽車の汽笛が鳴る。

「じゃあいってきます」
「ロン、あんまり無理しちゃダメよ!」

私とハリーは慌てて汽車の入口に走った。後ろから「君たちもあまり勉強しすぎるなよ、特にハリーはね!」というロンの声が追ってきた。

ハリーのカートを押し上げて、二人で汽車に乗り込む。すでにジニーは汽車に乗っていたようで、コンパートメントから顔を出して手招きをしていた。

―――その時突然に、本当に突然に事が起こった。

まるで汽車を巨人が揺らしているのではないかと思うほど、大きな揺れが私達を襲った。

慌てて窓や手すりに手をつくけれど、あまりに揺れが大きすぎて衝撃を逃がしきれずにふらついてしまう。

大きな音がして、続いてクルックシャンクスが唸る声がする。音の方へ目をやると、ハリーのカートが倒れていて、奥にゲージや開いたトランクやその中身が無惨に転がっているのが見える。

衝撃でゲージが開いたのか、クルックシャンクスがゲージの外に出て警戒するように毛を逆立てていた。その近くでハリーが手すりに捕まり何とか立ちながら、クルックシャンクス同様に警戒するように杖を構えている。

それを見て私もベルトに差した杖に手を伸ばした。

しかしそのタイミングでより一層大きな震動に襲われて、体勢を崩した私はコンパートメントの扉へと倒れかかる。揺れと寄りかかった私の加重でスライド式の扉が開き、支えを失った私はコンパートメントに転がるように倒れた。

「ハーマイオニー!!」

ハリーが私を呼ぶ声がする。

「大丈夫!?ハーマイオニー!?」

しかし頭を思いっきりぶつけてしまったようで、脳が揺すられたような目眩に意識が朦朧とする。立ち上がるどころかハリーの呼び掛けに応えることもできないまま、未だに続く震動の衝撃に耐えていると、ガシャンと何か閉まるような音がした。

コンパートメントの扉が閉まったのだ。

それと共にハリーの声が聞こえなくなる。

「ハリー……ロン……」

掠れるように声をあげたのを最後に、私の意識は闇に沈んだ。

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