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遊戯王×D灰 2

硝煙と鉄とオイルの臭いが辺りに立ち込める。

瓦礫と壊れた『兵器』が辺り一面に広がっていた。

その中心には肩に白い蛇を巻いた銀髪の少年が。

長い髪と黒い服を風にはためかせ、その少年は立っていた。



『お疲れ様〜、バクラ君』

任務報告の電話をかけると、室長であるコムイに繋がった。コムイはどこか気の抜けたような声でバクラに労いの言葉をかける。

「……室長サマはまた徹夜か」

呆れたように呟くと、受話器から乾いたような笑いが返ってきた。それからバクラは簡潔に今回の任務について報告する。

『うん、大体の話はわかったよ。じゃあ回収したイノセンス持ってホームに戻ってきて』

一通り話し終え、コムイから帰宅命令を受けたバクラは了解の返事をする。

『神田くんとリナリーも丁度帰ってきてるから、早く帰っておいで』

コムイは最後バクラにそれだけ伝えると通話を切った。



「兄さん!バクラの任務が終わったって本当!?」

徹夜続きの科学班の面子にコーヒーを配っていたリナリーは、最後にコムイにコーヒーを渡しながら尋ねた。コムイはコーヒーを受け取りながら一つ頷く。

「じゃあ久しぶりに三人で会えるのね!楽しみ!」

幼なじみの帰還に嬉しそうに笑うリナリーにコムイは笑い返す。

神田・リナリー・バクラの三人はお互い高い戦闘能力を有しているため忙しい。殊更神田は遠出の任務へ赴くことが多いため、こうして三人の休暇が被るのは本当に久しぶりだった。

「兄さん!私、神田にこの事教えてくるわね!」

「えっ?」

リナリーはコーヒーを運んでいたお盆を片付けるとそう言う。そしてそのままリナリーは名残惜しげに手を伸ばすコムイには気付かずに室長室を出ていった。



バクラが地下用水路をボートで進んでいると、水路の入口でリナリーとリーバーが手を振っているのが見えた。

「おかえりなさい、バクラ!」

「おかえり、バクラ」

リナリーとリーバーは笑ってバクラを迎える。バクラはリーバーにイノセンスを渡しながら「ああ」と返した。

神田の素っ気なさに慣れているリナリーはさほど気にした様子もなく笑っていた。

「バクラ、左腕どうかしたのか?」

イノセンスを受け取ったリーバーは、血に濡れ、ところどころ引き裂かれたコートの左腕部分を見てバクラに尋ねる。バクラは「ああ、」と相槌を打つとおもむろにコートを脱ぎ出した。

そして露になる、左腕の裂傷と血の流れた跡。

「これでも大部分マシになった方なんだが……今回はドジって左腕吹っ飛んだからな」

くっつけんの大変だったぜ、とバクラが嘆息する横で、リナリーとリーバーが頬をひきつらせる。予想だにしないスプラッタに青ざめるリナリーに、バクラは慌てて話題を変えた。

「そういやぁ……神田も帰ってきてるんだって?室長サマが言ってたんだが」

リナリーにそう尋ねるとリナリーは「えぇ、帰ってきてるわ」と頷く。バクラはボサボサに延びた髪を乱雑に掻きながら「三人揃うのは珍しいな」と呟いた。

ヘブラスカにイノセンスを渡しに行くリーバーと別れ、バクラとリナリーは医務室へと向かう。歩きながらバクラはリナリーを振り返った。

「また室長サマは徹夜みてぇだな」

リナリーは眉をハの字にしながら頷く。

「何だか色々忙しいみたい」

そうして他愛のないことを話していると、やがて二人は医務室に辿り着いた。中へ入ると丁度神田が治療を受けていて、それを見たバクラは口角を上げて笑った。

「よぉ、神田。元気……じゃあなさそうだな」

神田の胸に巻かれた包帯を見ながらバクラは煽るように声をかける。その声に顔をあげた神田は、同じく嘲笑の笑みを浮かべた。

「はっ。帰還直後にここに来てるてめぇも同じだろ、バクラ」

神田はバクラの左の二の腕を顎で指す。バクラは少しバツの悪そうな顔をした。

「もうほとんど塞がりかけてんだが……まぁ一応な。オレ様も命は惜しいんでね」

バクラはそう言って医務室の椅子に座る。すぐに看護婦が飛んできて、バクラの治療を始めた。



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あきゅろす。
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