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01-7
好き好きに話をしながら着替えをしていると、様子を伺いながら葵が話しを切り出した。


「バネさん、さっきの誰ッスか」
「え?」
「女の子っ!」


やっと切り出したのだから逃がさないと言わんばかりに葵は目を輝かせながら黒羽に詰め寄る。


「バネが悠と仲が良かったなんて知らなかったな」


葵のテンションに拍車をかけたのは亮だった。
長い髪を束ねながらいつもの笑顔を黒羽に向ける。
しかし黒羽はその言葉に違う意味が込められている気がしていた。


「仲が良いっつーか昨日話しただけだよ」
「ふぅん」
「昨日って何があったんっすか!?」


興味津々な葵を押しやると黒羽は部室を出て行き、それを追うように亮が出る。
何となく気持ちが落ち着かない黒羽は亮を見たが、当の本人はうちわで扇ぎながら涼しげに笑っていた。


「気になる?」
「何がだよ」


無意識に自分の声が不機嫌そうに響き、黒羽は驚いた。
それに気付いた亮は面白そうに笑う。


「悠は不器用だけど良い子だよ」


そう言い残すと亮は教室へと歩き出した。
一体何に不機嫌になる必要があるのか。自分の心の揺れを持て余し、黒羽は溜め息をついた。

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