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04-03
悠の隣に座った淳は、ゆっくりと深呼吸した。
話したいことはたくさんあるはずなのに、きっかけが見つからない。


「やっぱりこっちも暑いね」
「うん」


必死に選んだ言葉もその先に続くことなく、再び沈黙が訪れる。
照りつける太陽は二人の肌をジリジリと焼く。
淳は横目で悠を盗み見た。
まだ幼さが残るものの、大人になったと思った。
ルドルフに行ってから会うのは初めてで、その歳月がこんなにも人を変えるんだと実感する。
それは悠にとっても同じだけれど。


「なんで戻ってきたの?」
「戻って来ちゃダメだった?」


我ながら意地悪な質問だと淳は思った。
悠が困るのをわかっていたから。
実際に悠は答えに困って俯いてしまっていた。


「私、帰る」
「送るよ」
「いらない」
「悠…!」


立ち上がった悠の腕を無意識に掴んでしまう。
淳はそんな自分の行動に驚いたが手を離すことはしなかった。


「離して」
「送るよ」
「いらないってば!」


思ったより強くなってしまった語尾に悠は戸惑う。
悠は淳の腕を振りほどくと、走ってその場を去った。
これ以上、淳に関わりたくないと思っていた。
風の強い日の海のように、心が荒れてしまうから。
言ってはいけない言葉を言ってしまいそうになるから。


「…嫌われたかな」


誰もいなくなった海辺で淳は呟いた。
昔と同じように受け入れてもらえるなんて思っていなかったはずなのに、どこかで期待をしていた。
また再び昔と同じ無邪気な笑顔を向けてもらえるはずなんかないってわかっていたのに。


「ワガママばっかりだな」


呟いた言葉は波の音に飲み込まれていった。

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あきゅろす。
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