03-09
「どうする?」
「何で俺に聞くんだよ」
「彼氏だし」
果歩に尋ねられた黒羽は溜め息をついた。
こう何でも彼氏だからと決定権を委ねられては困る。
そう思っていると真紀が呼びかけてきた。
「君が悠の彼氏くん?」
「え、まぁ…」
「そう。苦労するねぇ。もう終わる頃だから呼んできてあげるよ」
真紀はそう言うと仲間の元へ去って行った。
黒羽は真紀の言葉に疑問を感じて、少し考えた。
悠に苦労すると思ったことは一度もなかったからだ。
階段を避けて砂浜で円を書くように座っていると、いつの間にか着替えた悠が来た。
「今日はめずらしいね」
「急にごめんね」
「大丈夫。もう終わろうとおもってたから」
悠は果歩と話しながら、その隣に座る。
好き好きに話していると思ったら、いつの間にか果歩と男性陣はまるで犬同士がじゃれあうように海で遊んでいた。
残された悠は砂浜に座って、黒羽はその隣に立って、その光景を見ていた。
横に立つ黒羽を見上げると空に向かって伸びをしていた。
半袖からのぞく腕はサーファー顔負けなほど真っ黒に焼けていて、それに隠れるようにいくつかの新しい傷があった。
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