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01-4
黙って考え込んだ黒羽を見て、悠は突然不安になった。
親しくもない相手にこんな話をされたら誰でも返す言葉に戸惑う。
しかし今更出て行った言葉を引き戻すことも出来ない。
気まずい思いで言葉を探すが、さっきの饒舌さが嘘のように何も出てこなかった。


「ごめんね、変な話をして」


やっと言えたのはそんな言葉で、悠は逃げ出したい気持ちになった。
見上げた顔は悠の言葉に驚き、そして笑う。


「いや、違うんだ。サーフィンは詳しくないけどテニスに置き換えたら少し気持ちがわかるなって…そう思ったらつくづく自分がテニス馬鹿なんだなってさ」
「…そう…でも、」
「大丈夫だって」


悠の言葉を遮って言った黒羽は言い聞かせるようだった。
不安げに見上げていた悠は少し笑顔を見せ、黒羽は安心した。


「私の家、もうそこだから」
「あぁ。気をつけて」


悠は横断歩道の前で足を止めると信号機のスイッチを押した。
その隣で黒羽が同じように信号機を見上げていると、すぐに青に変わった。


「ありがとう」
「あぁ」


小さく手を振ってから悠は歩き出した。
その背中を黒羽は見ていた。


「あのさっ!」
「えっ!?」


横断歩道の真ん中近くで悠は突然足を止められ振り向くと黒羽がいた。
振り向いて向かい合うと掴まれていた腕から手が離れる。


「あー…明日、ちゃんと学校来いよな」
「うん」
「じゃ学校で」
「うん」


信号が点滅し始めたのが合図かのように二人は再び離れて、お互いの家へと向かった。
悠は腕を掴んだ手の大きさを、黒羽は掴んだ腕の細さを。
それぞれを思い出しながら、二人は振り返ることなく歩いた。

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あきゅろす。
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